8:初めてのソロ活動
昼食後、鈴森さんと別れて単身昨日の草原にやってきた。途中で大き目のリュックサックを道具屋で借りてきた。
早速辺りを見渡してみたがイノシシは見当たらなかったので薬草採取を行う。昨日良野さんに教わったのでどれが薬草かは分かる。30分程採取したあたりでどうにも飽きてしまい、もう少し移動してイノシシがいないか探してみる。一応携帯端末のマップを見て自分の位置やゲートの位置も確認する。
草原の終わり近くにまで来ると林が見えた。その林の手前にイノシシがいた。大きさは昨日力堂さんが倒したくらいのサイズだ。早速ホウホウ!と言いながら両手を開いて近づくと、すぐにイノシシはこちらに突進してきた。1日経って果たして動作やタイミングなど覚えているかと思ったが、問題なくあっさりと倒すことが出来た。何か落とすかと目を凝らしてみたが特になにも落ちなかった。
辺りを見渡すともう一匹見つけた、ちょっとだけ大きい。やはり同じように近づいて倒す、そして何も落とさない。他にもいないかと見渡すが見つからないので、動物だから林の中にいるんじゃないだろうかと思ったが、イノシシ以外に危険な生き物がいるかもしれないのと、そもそもまだまだ経験不足なのでうかつに入ることはしなかった。
仕方がないので背負っていたリュックを地面におき、なんとなくその場で昨日の動きの反復練習をした。その後自分なりにアレンジを加えて動作を変えてみた。色々と試しているうちになんかいい感じに気に入った動作が見つかり、何度も何度もその動作を繰り返した。繰り返しているうちに夢中になっていき、さらに何度も行った。500回くらいまでは数えていたような気がしたが、いよいよそれすら分からなくなった頃、何かの気配を察知した。
目には見えないがなんとなくこっちの方角だと直観のおもむくまま、駆け足気味の速度でそっちに向かった。そうすると2匹のイノシシを発見した。昨日最後に倒したのと同じくらい大きいのと、それより少し小さいイノシシの2匹だ。なんとなくつがいのような気がした。
我ながら驚いたことに大胆にもその2匹に向かって、躊躇なくホウホウ!といいながら両手を広げて向かっていった。当然すぐに2匹と目が合い、大きい方のイノシシが突進してきた。これまでと同じように向かい合い、ここだというタイミングで横に捌いて首にチョップ!ヨシッ!と思ったのも束の間ヤバイッ!という危険を感じて前方にダイブし素早く前転する。
すぐに起き上がり振り返ってみると、もう一匹が自分が居た場所を突き抜けていた。そのまま突進したイノシシが停止して振り返りこちらを見る。やはり身体をブルブルとふるわせた後突進してきた。こちらの体勢は既に整えていたので問題なくかわして一撃。すぐに消滅し牙を落としてくれた。大きい方を倒した辺りを見ると肉が落ちていた。両方とも拾ってリュックに入れた。
その後はやはり周りにイノシシの姿がないので、チョップの素振りを再開したのだが、もしも複数のイノシシが来た場合どうすればいいのだろうと、考えてイメージしながらいくつか動作を行い、やはり何度か試しているうちに、なんとなく気に入った動作が見つかり何度も繰り返した。そうして夢中になっているとまたしても直観が働き、そちらに向かってイノシシを発見して倒した。
その日は合計10匹程のイノシシを倒したが、結局2匹以上同時に相手をすることはなかった。携帯端末にて午後4時を過ぎていたことを確認して戻ることにした。
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