第11話 「一発じゃんけん」を考察する。

 芸人、「三日月マンハッタン」の仲嶺さんという人が考案した「一発じゃんけん」なるものがある。「スッキリ」などのTV番組や千原ジュニアのYouTube動画などで紹介されている。


 🔗元ネタはこれ→https://x.com/mikadukinakami/status/1231209843467309058?s=20


 ルールを紹介すると、


 ・「1」「2」「3」「4」「5」の数字(手)を出す。

 ・同じ手が複数存在したら、失格。

 ・単独の手で数字が一番大きい人の勝ち。

 ・ただし、「1」と「5」が残っていたら、「1」の逆転勝ち。


 これだけです。


 ■例1:

 ・「2」「2」「3」「4」「5」

 →「2」は失格、「3」「4」「5」のうち一番大きいのは「5」なので、「5」の勝ち。


 ■例2:


 ・「1」「3」「3」「4」「5」

 →「3」は失格。残った「1」「4」「5」のうち大きいのは「5」だが、「1」がいるので逆転で「1」の勝ち。


 あいこになるのはユニークな手を出した人がいない時だけなので、大人数でもほぼ一発で勝負がつくということです。なるほどね。


 💡それでは解析を。


 ここでは7人でのじゃんけんを想定します。


 ■1:一発じゃんけんで一発決着できない確率:

 ・全員が同じ手になるケースは「1」から「5」の5通り。

 ・2人が出した手が同じで、残り5人が別の1種類の手であるケースは、2P5×2C7=420通り。

 ・3人が出した手が同じで、残り4人が別の1種類の手であるケースは、2P5×3C7=700通り。

 ・2人が出した手が同じで、もう2人が別の1種類の手を出し、残り3人がさらに別の1種類の手であるケースは、3P5÷2×2C7×2C5=6300通り。

 ・すべての手の組み合わせは、5^7=78125通り。

 ∴一発で決まらない確率は、(5+420+700+6300)÷78125≒9.5%


■2:普通のじゃんけんで一発決着できない確率:

 ・1人だけ残り6人と違う手を出し、それで勝っているケースは、3×7=21通り。

 ・すべての手の組み合わせは、3^7=2187通り。

 ∴一発で決まらない確率は、1-(21÷2187)≒99.0%


 こうやって普通のじゃんけんと比べてみると、「一発で勝負が決まる確率」が大幅に上がることがわかります。


 ✊一発じゃんけんで有利な「手」とは?


 一発で決まるということは「勝者」と「敗者」がいる。


 ■「1」を出して勝てるパターン:

 ・1人だけ「1」を出し、他の全員がそれ以外の同じ「手」を出したケース。7×4=28通り。

 ・1人だけ「1」を出し、誰か1人だけが「5」を出したケース。

 7×6×3^5=10206通り。

 ・1人だけ「1」を出し、他の6人が1人だけの手を出していないケース。7×(2P4×2C6+2C4×3C6+3C4×2C6×2C4)=4620通り。


 ■「2」を出して勝てるパターン:

 ・1人だけ「2」を出し、他の全員がそれ以外の同じ「手」を出したケース。7×4=28通り。

 ・1人だけ「2」を出し、誰か1人だけが「1」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「2」を出し、他の6人が1人だけの手を出していないケース。7×(2P4×2C6+2C4×3C6+3C4×2C6×2C4)=4620通り。


 ■「3」を出して勝てるパターン:

 ・1人だけ「3」を出し、他の全員がそれ以外の同じ「手」を出したケース。7×4=28通り。

 ・1人だけ「3」を出し、誰か1人だけが「1」、もう1人だけが「2」を出し、他の4人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×(2+2C4)=1680通り。

 ・1人だけ「3」を出し、誰か1人だけが「1」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「3」を出し、誰か1人だけが「2」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「3」を出し、他の6人が1人だけの手を出していないケース。7×(2P4×2C6+2C4×3C6+3C4×2C6×2C4)=4620通り。


 ■「4」を出して勝てるパターン:

 ・1人だけ「4」を出し、他の全員がそれ以外の同じ「手」を出したケース。7×4=28通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「1」、もう1人だけが「2」を出し、もう1人が「3」を出し、他の3人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×4=840通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「1」を出し、もう1人だけが「2」を出し、他の4人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×{2+2C4}=1680通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「1」を出し、もう1人だけが「3」を出し、他の4人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×{2+2C4}=1680通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「2」を出し、もう1人だけが「3」を出し、他の4人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×{2+2C4}=1680通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「1」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「2」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「3」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「4」を出し、他の6人が1人だけの手を出していないケース。7×(2P4×2C6+2C4×3C6+3C4×2C6×2C4)=4620通り。


 ■「5」を出して勝てるパターン:

 ・1人だけ「5」を出し、他の全員がそれ以外の同じ「手」を出したケース。7×4=28通り。

 ・1人だけ「4」を出し、誰か1人だけが「2」、もう1人だけが「3」を出し、もう1人が「4」を出し、他の3人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×4=840通り。

 ・1人だけ「5」を出し、誰か1人だけが「2」を出し、もう1人だけが「3」を出し、他の4人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×{2+2C4}=1680通り。

 ・1人だけ「5」を出し、誰か1人だけが「2」を出し、もう1人だけが「4」を出し、他の4人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×{2+2C4}=1680通り。

 ・1人だけ「5」を出し、誰か1人だけが「3」を出し、もう1人だけが「4」を出し、他の4人が1人だけの手を出していないケース。7×6×5×{2+2C4}=1680通り。

 ・1人だけ「5」を出し、誰か1人だけが「2」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「5」を出し、誰か1人だけが「3」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「5」を出し、誰か1人だけが「4」を出し、他の5人が1人だけの手を出していないケース。7×6×{3+(2P3×2C5)}=2646通り。

 ・1人だけ「5」を出し、他の6人が1人だけの手を出していないケース。7×(2P4×2C6+2C4×3C6+3C4×2C6×2C4)=4620通り。


 ■一発じゃんけんの勝ちパターンまとめ:

 ・「1」で勝つパターン:14854通り。

 ・「2」で勝つパターン:7294通り。

 ・「3」で勝つパターン:11620通り。

 ・「4」で勝つパターン:18466通り。

 ・「5」で勝つパターン:18466通り。


 ∴機械的に考えれば「4」または「5」を出した方が有利である。


 ただし、上記のオッズ差を知った上で出す「手」を選ぶとなると、人間心理が作用してくる。当然「4」「5」は人気となり、「手が被ってくる」。


 そうなると、必ずしも大きい数字が有利とも限らないのが、一発じゃんけんの面白いところと言えるかもしれない。

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