第2章 26話
「お前らがなんで来てるの? 俺、A級パーティと、元S級の元ギルマスに払える護衛料なんて無いからね!」
「感動の第一声がそれかよ。お前らしいが、その点はほらアルから預かってきたから」
A級?S級? と周りの一般客はざわついているが俺は気にせずに手紙を開きその内容を読んだ。
「拝啓マスター。
この人達大人しくしてないんで、元々の休暇と、護衛を長めに出して1ヶ月帰って来なくていいです。むしろそっちで預かってください。護衛料はダンダルさんに言った普通のB級パーティくらいでいいです。
追伸、マスターが帰って来ない間にたまったマスターの承認の必要な書類は後日手紙で届きます。多いので皆さんに持っていってもらうのは無理でした」
追伸の内容が辛いよアル。ごめんなさい。ゴタゴタが終わったのが確認出来たらそっちに一度帰るからね。
「そういう事ならゆっくりして言ってくれ。名所なんかも案内しよう?」
「タツヤ、ワシの扱い軽く無い? 師匠がサプライズで来てるのに……」
「あぁもういじけないでくださいよ。あっ、そう言えば師匠に預けて遠慮なく・・・鍛えてもらいたい奴等がいまして」
「ほぅ、遠慮なくとな」
「ハイ、2人とも斥候なので、スミスにも見てもらいたいんだよね。師匠はお酒、スミスは女の子でも紹介する?」
「それはあの奴隷の子かしら? 未成人にも手を出して、イヤらしい」
アメリアがカットインして訳のわからない事を言ってきた。んっ、なんの事だ? アレ? 『炎姫』からファストの町で感じることが多くなったマリアの冷気を感じるぞ。
属性変わった? って、これは放っておいたら駄目なやつだ。その前に。
「奴隷ってなんの事? 俺、奴隷なんか持ってないけど」
「惚けないでよ! まだ成人してない娘まで、囲って置いて、しかも全部で4人ですって? あなたがそんな最低な人だとは思わなかったわ!」
「あぁ、あいつらは従業員で、ただ前金で村から雇って来たから奴隷じゃないって説明して今はわかってくれたんだけど、なんか俺への感謝が振り切ってて、普通にしてくれないんだよね。ハハッ」
ちゃんと説明すれば分かってくれるはずのアメリアが、まだむぅっとしている。ふと見ると、ワインの酒瓶が転がっている。こいつ弱いのに1人でこんなに飲んだの? マズい!
「私はあんたのことしか考えていなかったのに、その間にあんたは若い女の子達と楽しくやっててんだ。私がどんなにタツヤが好きかわかってないの?」
「いや、アメリア、その話は2人でまたお酒を飲んでいない時にしないか?ほら、みんな見てるし、なっ!」
「タツヤさん、その返しは0点ですね。みんな見てるからなんだというんですか! そこは『俺もお前の事だけ見ているよ』でしょ?」
普段は大人しいソフィアが机をダンと叩く。ソフィアも酔ってるー。周りも歓声あげてるんじゃねえ! ってかみんなベロベロだな。ダンダルとか師匠は大丈夫だろうけど、この人達は普段から酔っ払ってるみたいなもんだしな。
「ご主人様大変です! 改装中の2号店がコンマンに占拠されました」
「なんだって! 誰だお前……ってバインか。なんか久しぶり。出番なくてなんかごめんねすぐに向かう!」
このタイミングで来たか。報復に来るかもとは思ってB級パーティを呼べる状況にした。そうしたらあいつら《赤き翼》が来た。このタイミングで来るなんて、なんてかわいそうな奴なんだ。
「ご主人様? 男色もなの? それは流石に……」
疾走する俺の後を着いてくる赤き翼、その中のアメリアの呟きは無かったことにした。
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場面で切りましたが短いので夜にもう1話更新します
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