第2章 20話 僕は、ゆるす
達也は外に出て念の為モンとキーに支援魔法をかける。外ではヒソヒソと話す、3人組の声が聞こえる。
「おい、本当にやるのか? 親方やマリアさんが死んだら俺は……俺は」
「私だってやりたく無いよ。でも絶対服従の契約魔法を破ったら、長く激痛に苦しんで死ぬって書いてあるって言うから……あんなにお世話になったのに、結局自分が1番可愛いんだね」
「なぁ、火を付けたらすぐに中の人達に火事だって知らせに行かねえか?それならすぐに消せるだろう?」
「「それだ‼︎」」
(馬鹿なのかな? って言うか契約魔法にそんな使い方出来なかったはずだけどな。なんか詐欺にでもあったのかな? って言うかそれだ! じゃ無いよ)
達也が考え事をしていると、宿に火がつけられようとしたので、モンとキーが止めに入る。
男2人を鮮やかに気絶させ、女を残した。そこに達也が登場する。ついでにサイレントで支援魔法をかけたことによって、自分の体がいつもより動いた事に、キョロキョロとしてたまに自分の掌を見ているモンとキーは面白いからしばらく継続して支援魔法をかけておこうと思った。
「あー! 失敗した。私はこれから死ぬんだ。激痛に苦しんで……イケメンと結婚もしたかった! まだまだ美味しいものも食べたかったマリアさんに謝りたかった。旅行とかも、それから……」
「で、いつ死ぬんだ?」
止まらない未練たっぷりの辞世の句に思わず笑いながら話しかけてしまった。こいつらはやっぱりなんとなくヘイホーの関係者って感じがするな。
「へっ?……なんで生きてるの? 痛くない? オルテカとマシューは?」
「生きてるよ。僕も契約魔法は使うから勉強した事あるけど、教会の使う魔法だし直接的に『命を奪う』とか言う契約魔法は作れないよ」
「じゃあ私達、死ななくて良いんですか? オルテカ、マシュー起きて、私達死なないんだよ」
カイアがそう話しかけて肩をゆすると2人が目を覚ました。意識が朦朧としているのかフラフラとしているが、少し待って説明してやると、3人で肩を抱き合って泣き出した。
「まぁ、騙されていたんだ。僕から・・・何かする事はない。今日はゆっくりして行きなよ」
僕からは……ね。
抱き合って泣き続ける3人は気付かなかった。中華包丁の様な大きな刃物を持って鬼の形相で仁王立ちするヘイホーと、絶対零度の微笑みで佇むマリアの姿に。
《《》》さぁ行こうか。コンマンの所にお礼参りに。
……3人が色々落ち着いたら。
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