第150話 ダダダダンジョン8

 ◇◇◇◇◇


 クランハウスAー103にて。


 ついに華那たち4人組の長く激しい毒耐性特訓も終わり、一緒にダダダダンジョンに潜れる日がやって来た。


華那:「ふぅ。長かったね〜!」


玲奈:「キツかったよね?」


龍太郎:「ああ、頑張ったな!」


亜実花:「本当。でもこれで大丈夫だよね。」


詩音:「どんどんみんなに置いてかれるから焦ったよね。」


華那:「そうだよねぇ。

 先生とカレンちゃんが異常にレベル上げていくからさ。今って、先生がレベル49で、カレンちゃんがレベル33だったっけ?」


龍太郎:「ああ、そうだぞ。」


カレン:「そうだね。」


玲奈:「圧倒的差がついちゃったよぅ。」


詩音:「ちょっと前まではさぁ。カレンちゃんは私たちと同じレベルだったんだけどなぁ。」


龍太郎:「俺から見ても、カレンのレベルの上がり方は異常なんだよ。

 たぶん、なんちゃらの加護ってやつだろ。」


詩音:「セラフィムだよね?」


玲奈:「いいなぁ。

 私もなんちゃらの加護が欲しいよ。」


詩音:「セラフィムね!」


カレン:「今でも不思議なんだよね?

 あれって一体なんだったんだろ?」


詩音:「セラフィムってくらいだから、熾天使だったんじゃない?」


カレン:「そうなのかなぁ。

 でも、そうかも。優しい感じだったし。

 だったら、すごいよね。」


 ここにもカレンの秘密が隠されているのだが、本人も本当に何も分かっていない。


龍太郎:「そろそろ、行くか!?」


華那:「え?お姉さんたちは?」


龍太郎:「あ!そっか。言うの忘れたな。

 今日は休養日に当てるって。

 だから、俺たちだけだ。」


カレン:「そうだね。言うの忘れてた。」


玲奈:「カレンちゃんまで忘れてたの!?

 まあ確かに休みなく毎日だったもんね。

 ま、いっか。それじゃあ、出発だね!」


龍太郎:「ああ。今日はこのメンバーな。」



 ◇◇◇◇◇



 龍太郎たちは、同伴転移でダダダダンジョンの前に到着。全員揃った。


華那:「なんか、ここも久しぶりだよね。」


詩音:「毒耐性、大丈夫だよね?」


玲奈:「バッチリ大丈夫!

 こっからレベルアップ爆上げモードね!」


亜実花:「玲奈ちゃんが言うと、フラグ立っちゃうからやめてよね!」


玲奈:「そんなことないよ!

 影武者先生もいるんだから。

 私たちも早くレベル20に上げないとね!」


龍太郎:「そうだぞ!龍次郎は俺だから。

 安心して狩りまくってこい!」


玲奈:「おーーーー!って私だけ?」


華那:「おー!」

詩音:「おー!」

亜実花:「おー!」


玲奈:「なんで、時間差なん?」


龍太郎:「お前ら、早よ行け!」


 龍太郎がツッコまないと、この人たちはいつまででも喋り続ける体質みたい。


 そして、華那、玲奈、詩音、亜実花の4人は、意気揚々とダダダダンジョンの中に入って行った。

 もちろん、見えてないが、護衛の龍次郎も後ろから同行している。

 今回は、二手に別れて狩りに行くことにした。彼女たちは、第一階層でデスゴブリンズの討伐隊だ。


龍太郎:「じゃあ、俺たちも行くか!」


カレン:「うん。お願い!」


 龍太郎は、カレンとダダダダンジョンの入り口で、密着度マックス同伴転移で第六階層まで一気に転移した。


 第五階層までのモンスターは、ずっとデスゴブリンズだったが、第六階層でやっと違う種類のモンスターが登場。


 そいつの名は、デスポリスマン!


 ポリスマンの上位互換デスバージョン。

 ……とアイちゃんが言っていた。


 全身真っ黒の体が上位互換の特徴で、別に警官の格好をしているわけではないのだが、指の先から弾丸を発射する。


 これって見たことあるやつ。

 俺の持ってるスキル『毒鉄砲』そのもの。

 当然、弾丸は毒の塊だ。

 ちなみにポリスマンのスキルは下位互換『指鉄砲』……だとアイちゃんが言っていた。


 俺とカレンは毒耐性を持っているので、毒は効かないし、当たっても致命傷にはならないのだが、それなりにダメージを喰らう。

 とにかく、避けないといけない。

 しかも、弾切れなしに、やたらと連射してくるので、まあ、ちょっと厄介。


龍太郎:「カレン。今日も頑張るぞ!」


カレン:「うん。今日は二人だもんね?

 たくさん狩りまくるぞ〜!」


 スピードが圧倒的な特徴のカレンにとっては、実はこのデスポリスマンの方がデスゴブリンズよりも得意なのだ。

 なので、ここでは、龍太郎もあまり気にしないでとにかく狩りまくれるので、第六階層に来てからの方が、どんどん先に進める。


龍太郎:「カレン!来たぞ!」


カレン:「うん。私、右!」


龍太郎:「オーケー!俺は左な!」


 シュピーン!バサ!ザク!


龍太郎:「よし!料理長!」


 ビューン!シュン!ジャキ!グブ!ザク!


カレン:「やっぱり龍太郎は早いね!」


龍太郎:「カレンもすごいよ。次行こう!」


 圧倒的スピードで、第六階層を爆進中。

 二人とも移動は飛翔で進むので、移動時間も圧倒的に速い。

 しかも、この二人は疲れ知らず。

 4人の時は、叶姉妹のために時々休憩を取っている。この差は、たぶん、スキルを常時使用しているお姉様たちとパッシブのカレンの差だと思われる。

 今日は二人とも休憩をしようと言い出さない。ひたすらに突き進む。


龍太郎:「カレン!転移ゲートがあったぞ!

 今回は早く見つかったな。

 もう降りちゃうか?」


カレン:「うん。降りてみようよ。」


 龍太郎とカレンは、さらに階層を降って、第七階層に突入。

 しかし、ここもデスポリスマン。

 ここでも無双で狩りまくっていく。


 シュピーン!バサ!

 シュピーン!バサ!


 ビューン!ザク!シュン!ザン!ザザザン!


龍太郎:「よし!料理長!」


カレン:「龍太郎!今のでレベル上がったよ!34!」

 

龍太郎:「おー!早ぇー!

 また上がったのかよ?半端ねぇな!

 このままだと、俺、抜かれるんじゃね?」


カレン:「龍太郎とは、まだずいぶんと差があるからね。

 でも、このペースだと抜いちゃうかもね。ふふふ。」


 それからも二人は休むことなく狩りまくる。

 そいつの名は、デスポリスマン!



 ◇◇◇◇◇



 一方、第一階層にて久々に狩りを行う華那たち4人組はというと?


玲奈:「影武者先生、いるんだよね?」


詩音:「見えないから、ちょっと不安だよね?」


華那:「でも、ちゃんと鼓舞スキルも掛かってるし、近くに居てくれてると思うよ。」


亜実花:「そう思うけど、やっぱねぇ。」



龍次郎:『隣にいるんだけど……。』



 影武者龍次郎は、華那の肩をポンポンと叩き、地面に文字を削り始めた。


 見ろ!俺はここにいる!


華那:「あ!みんな!これ見て!」


玲奈:「わ。俺はここにいる。だって!

 先生っぽいね!カッコつけてるよ(笑)

 でも、良かった〜!これだと安心だね。」


龍次郎『うぐ!痛恨!』



 それから、華那たちが話しかけた際には筆談で会話するという方法が取られた。


 ダンジョンの地面は、ほぼ石のような硬さだが、そこに文字を書ける龍次郎の指の力、恐るべし。


 少し行くと最初のデスゴブリンズに遭遇。

 メンバーたちに緊張が走る。


 龍次郎は、みんなの肩をポンポン叩いてから、地面に何かを描き始めた。


 モンスターが多い

 ある程度ダメージを与えて弱らせる

 それまで待機!


華那:「ラジャ!みんな!待機!」


 龍次郎は、華那の返事を聞くと、デスゴブリンズに一瞬で近づき、軽めの衝撃剛拳で何度かダメージを与えて、モンスターを殺さない程度に弱らせて、華那たちの元に戻って来た。

 そして、華那の肩をポンポンと叩き、地面に文字を書いた。


 GO!


華那:「ラジャ!みんな!GOだよ!」


 完全に弱ったデスゴブリンズは、華那たちにとって美味しい敵となっている。

 たまに神経毒攻撃を喰らうも、毒耐性特訓の効果がバッチリ効いていた。

 みんなの連携攻撃で、全てのデスゴブリンズ討伐大成功!


玲奈:「やった!大勝利!」


詩音:「うん。毒耐性特訓の成果もバッチリだったね!」


亜実花:「私も頑張った。」


華那:「影武者先生!終わったよ!」


 龍次郎は、華那たちに近づいて、みんなの肩をポンポンと叩いて回った。

 そして、討伐した全てのデスゴブリンズに料理長スキルを掛けて、落ちた食用肉とモンスターコアを収納箱に格納した。


 こうして、華那たちも影武者龍次郎の助けを借りながら、第一階層討伐大作戦を順調に敢行していく。


 この時点でのネオメンバー+アルファのレベルと日本ランキングはこの通り。


 天堂龍太郎 :レベル49 序列1位

 夢咲カレン :レベル34 序列6位


 叶英莉花  :レベル31 序列10位

 叶世莉花  :レベル30 序列11位


 高梨玲奈  :レベル19 序列26位

 百枝華那  :レベル19 序列27位

 玉置詩音  :レベル19 序列28位

 佐々島亜実花:レベル19 序列29位


 さあ、頑張ってレベルアップしましょう!


 ◇◇◇◇◇

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