第151話 ダダダダンジョン9

 ◇◇◇◇◇


 ダダダダンジョン第七階層。


龍太郎:「うぃー!レベルアップ〜!

 ついに大台のレベル50達成じゃあ!」


カレン:「わ!嘘っ!凄っ!やったじゃん!」


龍太郎:「ああ、ファイブスターだ!

 エクスプローラやってて良かった〜!」


カレン:「うんうん。とりあえずの目標クリアだね?これで世界で4番目のファイブスターなんじゃない?じゃない?」


龍太郎:「ああ、まさかこんな日が来るなんて〜!諦めないで良かった〜!」


カレン:「そうだね!帰ったらお祝いしなくちゃね!モンブラン大盛りかな?

 あ!それでスキルはどうなったの?」


龍太郎:「ああ、それな!

 予想通り、各魔術レベルがⅣに上がったよ。

 それと!ついに一つ解放された!」


カレン:「え?嘘っ!なになに?何スキル?」


龍太郎:「全力集中ってスキルだった。」


カレン:「へぇ。どんなスキルなの?」


龍太郎:「スキルのバフ系って感じかな〜。

 詳しくは使ってみないと分からん。

 しかも、これってたぶんすごく溜め時間が必要みたいだし、それにクールタイムもありそう。そんなに頻繁に使えんかも。」


カレン:「へぇ。なんか凄そうだね!」


龍太郎:「まあ、よく分からんから、一回使ってみっか!

 全力集中ぅーーーーーーーーーーー!

 火魔術Ⅳ!火焔砲!うわーーーーー!」


カレン:「ギャーーーーーーーーーー!」

 

 ドゴゴゴゴゴーーーーーーーーーン!


 龍太郎の両手のひらから発射された火焔砲は威力が凄まじく、爆炎となって前方に飛んで行った!まさにカメ○メ波のサイヤバージョン。


カレン:「何これ!?」


龍太郎:「ビックリした〜!」


 火焔砲の飛んだ前方は、見晴らしのいい景色になっていた。ダンジョンを破壊している。


カレン:「ものすごい威力。

 ダンジョンの壁が無くなってる……。」


龍太郎:「これ、ちょっと使い方考えないといけないな。」


 全力集中は、よく考えると龍太郎以外のエクスプローラには使い物にならないスキル。

 この辺りの仕組みは、そういうことになってるのだろう。世界ふしぎ発見。



 そして、2人でレベルアップ競争という目標を持って、休みなく順調に討伐を繰り返す。


 ただし、順調かに見えた龍太郎だが、このファイブスター到達という輝かしい勲章が、今後思わぬ事件を引き起こす結果になろうとは、龍太郎もカレンも、この時は知る由もなかった。


 現在の龍太郎のステータスボード


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル50

【固有超能】超能王

【解放超能】超覇気・支配・影武者・監獄長・全力集中・転移・収納箱・治癒浄化空間・鋼龍武装・黒炎旋回戦斬・衝撃剛拳・大流星弾・飛翔・重力操作・鼓舞・伝心・毒鉄砲・俯瞰・分析・料理長(残りスロット4)

【解放魔術】火魔術Ⅳ・水魔術Ⅳ・風魔術Ⅳ・土魔術Ⅳ

【登録超能】豪運※・召喚※・光※・闇※・癒※・心※・擬態※・封印※



 ◇◇◇◇◇



 ダダダダンジョン第一階層。


 もう一方の4人組討伐隊も影武者龍次郎のサポートのおかげで、順調に討伐を繰り返す。


華那:「影武者先生!終わったよ!」


玲奈:「わ!」


華那:「玲奈。何?どうしたの?」


玲奈:「レベル上がった!」


亜実花:「え?本当!」


玲奈:「本当!」


詩音:「玲奈ちゃん!やったじゃん!」


亜実花:「レベル20だよね?スキルは?」


玲奈:「うへぇ!上がった!」


亜実花:「きゃー!やった!」


玲奈:「闇魔術Ⅱ!闇縫やみぬいだよ!」


華那:「カッコいい!どんななのよ?」


 玲奈の周りにみんなが集まって、スキルについてわちゃわちゃといろいろ確認していた。

 みんなもレベル20でスキルレベルが上がることが分かって、はしゃいでいる。

 次は自分も!と思うと、はしゃがずにはいられない。

 より一段とモチベーションが上がりまくり。


 その後、次々とレベルアップし、この日のうちにメンバー全員がレベル20に到達。

 これで全員がツースター達成!

 それぞれの魔術レベルもⅡに上がった。


 高梨玲奈〈闇魔術Ⅱ〉

 レベルⅡの闇魔術は闇縫やみぬい

 敵の足元から黒紫の闇を発生させ、相手の身体を一定期間拘束するスキル。

 掛けられた相手に闇が纏わりつき、金縛りのように硬直し、動けなくなる。


 百枝華那〈光魔術Ⅱ〉

 レベルⅡの光魔術は瞬光速しゅんこうそく

 光の速さで瞬間移動する。

 短距離での高速瞬間転移という形のスキル。

 一瞬で相手の死角に移動できる。


 玉置詩音〈癒魔術Ⅱ〉

 レベルⅡの癒魔術は逆癒玉さかさいやしだま

 手のひらからどす黄色い液体のような球体を発生させ、ぶつけた相手の身体内部から徐々に疲労とダメージを与え続けるというスキル。

 癒玉は明るい黄色だったのに対して、逆癒玉は禍々しいまだらな色をしている。


 佐々島亜実花〈心魔術Ⅱ〉

 レベルⅡの心魔術は催眠さいみん

 相手の精神を一定時間催眠状態にする。

 掛かった相手は、黒目の部分が薄い桃色になり、亜実花の指示に従うようになる。

 時限的に発動する支配スキルの下位互換スキルといったところか。

 やはり、メンバーの中では一番やばそうなスキルである。


 覚醒スキルは激レアスキルのためか、レベルⅡの時点でチート感満載のスキルに変化した。


 レベルⅡ魔術を獲得したメンバーは、前回よりも圧倒的に有利な戦闘系スキルであったため、その後の討伐を一気に加速させていく。

 討伐時間が劇的に短縮された。

 その後は連携なしでも、デスゴブリンズに対抗できるほどの戦力を持った形となっていた。


 そして、本日の討伐も終了し、影武者龍次郎と筆談で会話しながら、渋谷のクランハウスに無事帰還した。


 余談だが、龍太郎と影武者龍次郎の収容箱は中で繋がっている。よって、どちらからでも取り出せる仕組みで実に便利。実に余談。


 なお、今回、影武者龍次郎から龍太郎へ成果は一切連絡していない。

 覚醒4人組の楽しみは取っておいた。

 レベルアップとスキルレベルアップの件は、彼女たちから報告するということで。

 そして、龍太郎が帰ってくるのを楽しみに待っている。可愛いね。

 すでにパジャマ姿でわちゃわちゃガールズトークをしているのを影武者龍次郎がほのぼのと眺めていた。



 ◇◇◇◇◇



 そして、ダダダダンジョン第七階層に戻る。


龍太郎:「ふぅ。完了っと。料理長!」


カレン:「こっちも終わったよ。」


龍太郎:「ああ。もうそろそろ帰るか?」


カレン:「あ!そうだね。今日は張り切ってだいぶと頑張ったから、すごく延長しちゃってるね。」


 今日は2人きりということで、カレンは龍太郎に聞きたいことがあったのだが、結局この時間になってしまった。


龍太郎:「じゃあ、本日の狩り終了。

 お疲れ様でした。

 装備を格納するからな。」


カレン:「うん。お願い。」


 龍太郎とカレンの装備を格納して、いつものように超絶密着同伴転移モード。

 もう2人ともこれには慣れたものだが、龍太郎とカレンが抱きしめ合っているという表現が近いほど、密着度マックス状態。

 ものすごく顔が近い。真横にある。


龍太郎:「じゃあ、行くぞ。」


カレン:「あ!ちょっと待って!」


龍太郎:「ん?どうした?」


カレン:「あのさぁ……。」


 カレンはモジモジしている。モジ子さん。


龍太郎:「ん?ああ。おしっこか?」


カレン:「わー!もー!違う!」


龍太郎:「え?悪い。じゃあ、何?」


カレン:「あの、龍太郎ってさ。

 綺麗なお姉様が好きなの?」


龍太郎:「はぁ!?いきなりなんだよ?」


カレン:「あ、ちょっと聞いてみただけ。

 英莉花さんとか、世莉花さんの同伴転移の時になんだか嬉しそうにしてるじゃん?」


龍太郎:「なんで!?そんなことないでしょ?

 というか、お姉さんたちってなんというか、同伴の時、何も付けないじゃん?

 だから、ちょっと感覚が変というか……。

 だから、嬉しいとかではないぞ!

 断じてそれはない……はずです。」


カレン:「はずですって……。ま、いっか。

 確かにもう諦めてるけど、何も付けないもんね。あの人たち……。」


龍太郎:「そうなんだよな〜。

 全然気にしないってのがすごいよな?

 まあ、そっちの方が嬉しいけど。あっ!」


カレン:「ほら!やっぱり、嬉しいんだ?」


龍太郎:「嬉しいは間違い!嬉しくはない!」


カレン:「まあ……仕方ないよね。

 男の子だもんね?はぁ……。」


龍太郎:「うっ!なんかすんません……。」


カレン:「それでね。これは英莉花さんから聞いたんだけど、私に好きな人がいるから無理って龍太郎から聞いたって。」


龍太郎:「ん?あ!そういえば、言ったかも。

 悪い。秘密だったか?」


カレン:「そうなんだね?

 でも、なんか誤解してると思う。」


龍太郎:「誤解してる?何が?」


カレン:「うーんとね。

 とにかく誤解してるから。」


龍太郎:「誤解?好きな人はいないってことか?」


カレン:「うーん……。まあ、そうだね。」


 そういうことにしておくか?


龍太郎:「そうだったのか?

 いや、悪い。そうかぁ。なるほど。」


 聞き間違いってことなのか?

 言ってたと思うんだけど……。


カレン:「で、なんか言うことある?」


龍太郎:「え?あ。すいませんでした。」


カレン:「そうじゃなくって。それだけ?

 もっと他に…あるでしょ?

 ほら、龍太郎の気持ちとか。

 正直に言ってみ!」


 カレン様は告らせたい…!会長〜!


龍太郎:「うっ!今?」


カレン:「そっ!今!」


龍太郎:「ここで?」


カレン:「そっ!ここで!」


 来たー!ここまで来れば告るよね?ね?

 カレンは、次の言葉を待っている。


 嘘でしょ?まさか、間違っても告白ってことはないよな?

 それは絶対に言っちゃダメなやつだ。

 だとすると、あっちか?

 そこまで言わなきゃダメなのか?

 龍太郎は、少し考えたが……観念した。


龍太郎:「ああ。恥ずかしいけど、正直に言うよ。」


 カレンは、うんうんと頷いた。


龍太郎:「カレンの時も変な気持ちになるよ。

 今も密着しててちょっと嬉しいかも。」


 カレンは、気持ちズッコケた。膝が落ちた。


カレン:「そっち?」


 その後もやり取りは続いたが、そもそも龍太郎には、カレンに告白するという選択肢が頭の中から無くなっている。無いものは出ない。


 カレン、ここでタイムアップ!カーン!

 今日は諦めて帰ります……。

 まあ、誤解が解けたから良しとする?


 アイちゃんもこのやり取りには思いっきりズッコケていたが、今回は突っ込まないでいた。

 まあ、もう少し様子を見てみよう!と。

 これが龍太郎テイストなのである。


 本当に残念な龍太郎であった……。


 ◇◇◇◇◇

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