第65話 大総選挙4

 ◇◇◇◇◇


 大総選挙生中継特番継続中。


『中間発表の順位について、如月さんの感想を聞きたいと思います。』


『カレンちゃんがトップですか。

 ある程度予想はしていましたが、この結果を見ると正直ちょっと不安です。

 あとは月城麗香さんが上がって来てますね。

 国内ランキングが影響しているかも知れないので、こちらも気になりますね。』


『御剣さんはどうですか?』


『うちの静華が下がってるのが気に入らん。

 もうちょい頑張ってくれや!

 でも、まだ序盤や。

 なんとかなるやろ。知らんけど。』


『そうですね。まだ序盤ですからね。

 投票率も2%ですから、この結果はまだ当てにはなりません。

 では、続いて気になる侍四天王の中間発表の順位を表示しましょう。

 モニターをご覧ください。』


 モニターにランキングが表示される。

 

◎侍四天王ランキング中間発表トップ10

 第一位:喜多川北斗(渋谷)

 第二位:御剣京介(梅田)

 第三位:喜多川南斗(渋谷)

 第四位:風魔宇宙(栄)

 第五位:蜂須賀亜蘭(渋谷)

 第六位:鶴岡つるおか甚八じんぱち(横浜)

 第七位:百地景虎(渋谷)

 第八位:黒田くろだ勘九郎かんくろう(天神)

 第九位:榎本えのもと伊庵いあん(札幌)

 第十位:天堂龍太郎(渋谷)


『おーっと。こちらもサプライズがあるようです。なんと、喜多川北斗さんがトップ。

 喜多川南斗さんも3位に付けています。

 そして、御剣さんが2位になっています。』


『うぉー!なんでやねん!

 静華だけやなくて俺もかい!?

 どないなっとんねん!?

 組織票やぞ。これ絶対!あかん!』


『御剣さん。勝手に喋らないでください。

 御剣さんの心の声がダダ漏れしてますが、驚くのはそこではありません。

 全くの無名の天堂龍太郎さんが10位に入ってます。

 これはどういうことでしょうか?

 掲載の情報によると、天堂さんは現在Dランクでクランは未所属ですね。

 それ以外の情報はほとんどありません。

 上位に食い込む要素が全くないのですが、一体、何が起こっているのでしょうか?』



 これには、クランハウスDー318号室が騒然となっている。


龍太郎:「えーー!なんで俺!?」


美紅:「ちょっと〜!あんたがなんで10位に入るのよ!何したのよ?」


カレン:「天堂くん!10位だよ!

 私も投票したけど、その他で投票する人いる?」


龍太郎:「いやいや!俺にも訳がわからん!なんで?

 あ!電話掛かってきた!もしもし?」


華那:『あ!先生?百枝です。

 ちょっとすごいことになってるよ。』


龍太郎:「ああ。知ってる。

 ヤバいことになってるな。」


華那:『先生、今どこ?』


龍太郎:「ああ、知り合いのクランハウスに来てる。」


華那:『え?嘘?どこ?何号室?』


龍太郎:「Dー318だな。」


華那:『うん、わかった。

 今からみんなで行くね。』


 ガチャ!プープー!


龍太郎:「おい!待て!あ!切れちゃった。」


カレン:「天堂くん!誰?」


龍太郎:「ああ、ダイアモンズの百枝さんなんだけど、今から来るって。」

 

カレン:「ダイアモンズの百枝さんって誰?

 なぜ、来るの?」


龍太郎:「誰と言われても、ダイアモンズの百枝さんだよ。たぶん、4人で来る。

 なぜ来るかはわからん。すぐ切られたから。」


カレン:「4人も?どういう関係なの?男?女?」


龍太郎:「全員、女。一応、全員、生徒。」


カレン:「意味がわからない!」


 ピンポーン!ピンポーン!


龍太郎:「もう来たか。」


カレン:「早っ!ってなんでこんなに早いの?」


龍太郎:「ああ。彼女たちもここに住んでるからな。

 確か、Dー201号室だよ。」


カレン:「部屋番号まで知ってるの?」


龍太郎:「ああ、一回行ったからな。」


カレン:「えー?なんで行くのよ!訳わかんない!?」


 ピンポーン!ピンポーン!


龍太郎:「あ!俺が出るよ。」


 ガチャ!


 案の定、4人勢揃いで来やがった。


華那:「あ!先生!いた!」

玲奈:「先生!すごいじゃん!」

詩音:「流石だよね!先生!」

亜実花:「先生!よしよし!」


龍太郎:「あのー?

 お前たち、何しに来たんだ?」


玲奈:「決まってんじゃん。見に来たんだよ。」

亜実花:「そうそう。どんな顔してるか。」

詩音:「面白そうだからね。」

華那:「きっと、びっくりしてると思って。」


龍太郎:「えーっと。お前たちの仕業か?」


詩音:「私たちは先生に入れたけど、そんなので10位になる訳ないじゃん!」

華那:「とにかく、立ち話もなんだから部屋に入れてよ。」

玲奈:「そうだよ!早く入れてよ。」

亜実花:「そうだ!入れろ〜!」


龍太郎:「わかったから、騒ぐな!」


 ぞろぞろと4人が突入!


4人娘:「「「「お邪魔しま〜す!」」」」


華那:「あ!え!嘘!?カレンちゃんがいる〜!」

玲奈:「あ!本当だ!!カレンちゃんだ!」

詩音:「え?本物?綺麗!」

亜実花:「うそ!すご〜い!生で見るの初めて!」


 なんちゅう騒がしい。


華那:「先生!ここってゴッドブレスユー!のクランハウスなの!?」

詩音:「先生とカレンちゃんってどういう関係?」

玲奈:「あ!この人もさっき見た!確か幼女の人。」

亜実花:「本当だ!幼女だ!」


カレン:「天堂くん!先生ってどういう関係なの?」

美紅:「あんたが先生って何?幼女って言うな!」


龍太郎:「おい!みんな、一斉に質問するなよ!」


カレン:「天堂くん!!まあいいわ。

 とにかく座って!ゆっくりと聞きましょうか?

 みんなはコーヒーでいい?」


華那:「あ!すいません。ありがとうございます!」


 ダイアモンズの4人が、席について、夢咲さんが、みんなの分のコーヒーを注いでいく。


カレン:「で?天堂くん。説明して。」


龍太郎:「ああ。この4人はダイアモンズ。

 狩りの途中で会ったんだけど、ちょっとヤバい状況だったんで参戦して、生徒になった。」


カレン:「なんか、ものすごくざっくりだね。」


華那:「リーダーの百枝華那です。」

詩音:「玉置詩音です。」

亜実花:「佐々島亜実花だよ。」

玲奈:「高梨玲奈です。」


4人娘:「「「「私たち、ダイアモンズです!」」」」


華那:「私たち、落ちこぼれ組って言われてて、先生にはいろいろ助けてもらってるんです。」


龍太郎:「ということだ!」


美紅:「あんた、なんで威張ってるのよ!?」


龍太郎:「一応、先生だからな。」


 よくわからない。


玲奈:「で、先生!なんでここにいるの?」


龍太郎:「あ、そっちか。

 俺は元ゴッドブレスユー!のメンバーなんだよ。いろいろあって今は抜けてるけど。」


詩音:「へぇ。そうなんだ。

 カレンちゃんのクランかぁ。いいなぁ。」


 こうして話している間も、特番生中継は進行している。


 ネット上でも、大騒ぎ状態。


 天堂龍太郎って誰だ?

 国内ランキング2600位だぞ。

 顔はマジいけてないじゃん!

 こんなのに誰が入れたんだよ!

 宝生舞夢くんより上ってあり得ない!



『さて、謎の天堂龍太郎さんについてですが、ネット上でもいろんな意見が出ているようですね。ある意味バズってます。

 如月さんは知り合いのようですけど、どういった人物なんでしょうか?」


『龍くんはちょっと変わった子ですね。

 まあ、面白いっていう意味なんですけど。』


『龍くんと呼んでるんですか?

 ということは、結構仲がいいんですか?』


『そうですね。付き合いは短いけど、仲はいいですよ。カーバンクルのメンバーとも仲はいいと思います。

 先日、勧誘したら断られましたけどね。』


『ほぅ、これはすごい情報ですね。

 天堂さんは現在ソロですよね。

 なのにカーバンクルへの加入を断ったと?』


『そうですね。彼には決めたクランがあるらしいので、今は修行中だそうですよ。

 なので、今はカーバンクルの弟分という形で交流してますね。』


『カーバンクルの弟分ですか?』


『え?ちょっと待ってくれ!』


 評論家の後藤が思い出したように、何やらフリップに描き出した。


『もしかして、こいつか?』


 後藤は、龍太郎を描いたフリップを見せた。


『ええ、そうですよ。よく分かりましたね。

 その装備ですよね?』


『そう。この装備は昔、あなたが使ってたやつだよねぇ?』


『流石ですね。以前、私が装備していた防具一式は彼にあげました。早速使ってるのね。』


『おー!羨ましい!如月琴音の装備!』


 後藤は、雄叫びをあげて悔しがっている。


『ほぅ。如月琴音の装備を譲り受けたやつか。

 天堂龍太郎ねぇ。』


 御剣も龍太郎に興味を持ったみたいだった。



 一方、クランハウスDー318もさらに大騒ぎだ。


カレン:「天堂くん。琴音さんに装備もらったんだ!」

美紅:「ちょっと!あんた、そうなの?」


龍太郎:「ああ、もらった。マジックアイテムだから、かなりいい感じだぞ。」


華那:「先生の装備、琴音さんのなんだね!すっご〜い!」

玲奈:「カレンちゃんだけじゃなくて、琴音さんも知り合いなんて、先生凄すぎだよ!」


 みんな、羨ましがってるぞ!ふふふ。


カレン:「天堂くん。カーバンクルの誘いを断ったんだね?」


龍太郎:「ああ、戻るところがあるからな。」


 それを聞いてカレンは微笑んだ。

 


 同時刻、喜多川北斗のマンションにて。


 北斗の他に、南斗、朱美、トップチームのメンバー、それと宝生舞夢がいる。


北斗:「朱美。こいつ知ってるか?」


朱美:「はい、以前、宝生の登録の時に会ってます。

 宝生が知り合いのようです。」


宝生:「ああ、ボス。それね。

 俺にとってはうるさい小蝿ですよ。

 その時、そいつと賭けをしたんですよ。

 あっさり勝ちましたけどね。」


北斗:「どんな賭けだ?」


 宝生は、その時の状況を北斗に説明した。


北斗:「ふーん。エクスプローラとしては並か。よくわからんな。」


宝生:「本当。あいつが10位って全く腹立つなぁ。

 顔も強さも下の下のくせに!

 今回は僕が入るはずなんだけど!」


北斗:「朱美はどう思う?」


朱美:「い、いや、私はよくわかりません……。」


北斗:「そうか……。一度会ってみるか。

 南斗。お前も一緒に来いよ。」


南斗:「ん?また、北斗の勘ってやつだな?

 ああ、いいぜ。俺も気になるからな。」


 朱美は、心配になりながらも無言を貫いた。

 あの事件以来、朱美は龍太郎のことが気になっている。


 実は今回、組織票の一部を龍太郎に回したのは、何を隠そう朱美と秘書室の仕業だった。


 朱美としては、良かれと思いした行動だったが、北斗、南斗が気にするとは思ってもいなかった。


 何も起こらなければいいけど……。


 ◇◇◇◇◇

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