第63話 大総選挙2
◇◇◇◇◇
ネット配信では、大総選挙生中継番組が続いている。
『それでは、まずは今回のエクスプローラ情報をお伝えしていきます。
現在の登録人数は3230名です。
今回は秋季なので、前回とほぼ変わりないですね。
男性エクスプローラが1420名。
女性エクスプローラが1810名。
男性の人数が若干減っているという感じですね。
野神さん。毎回聞いて申し訳ないのですが、女性の方が多い理由は何でしょうか?』
『はい、まあこれは私の見解になりますが、女性の方が堅実に探検をしているからではないでしょうか?
男性の場合、少し無茶をされる傾向があり、引退を余儀なくされるケースが多いんです。
以前のファーストダンジョンの件がいい例ですね。
エクスプローラは、全て自己責任になりますので、協会としては注意喚起のみということになりますが、この辺りは皆さんに気をつけて頂きたいと思います。』
『なるほど。そうですね。
エクスプローラは貴重な人材ですので、気をつけて頂きたいところです。』
龍太郎:「へえ。男性の方が少ないんだな。
知らなかったぞ。」
美紅:「あんた、そんなことも知らないんだ。
女性はね、出産後も復帰する率が高いんだよ。エクスプローラは基本対等だからね。」
龍太郎:「ふーん。そうなんだな。
確かにエクスプローラは、スキルとレベル次第ってところがあるもんな。
伝説のお千代さんも女性だしな。」
『それでは、まずサムライフォーについての予想をしていきたいと思います。
ここからは、秋元さんに意見を聞きたいと思います。どうでしょうか?』
『そうねぇ。今回は顔ぶれも同じということもあって、上位陣は変わらないと思うわよ。
現在の四天王に加えて、渋谷管轄のカーバンクルの2名が食い込むかどうかというところじゃないの?
面白そうなのは、最近、国士無双に加入した元ソロエクスプローラの宝生舞夢くんかしらねぇ?
イケメンだし、昇級の最年少記録を更新してるからねぇ。
まだ20歳だし、楽しみな存在だわ。』
『そうですか。やはり、上位陣が強しというところなんですね?』
『そうなのよ。女神七柱と違いって純粋に強さが決め手になるという傾向にあるわね。
そういう意味で六大クラン所属というのが、大きい要素なんだけど、ちょっと私からしたらそこが不満なのよね。』
『と言いますと?』
『やっぱイケメンじゃない?
強いのもいいけど、美味しそうなイケメンを選ぶべきだって思うのよ。』
『美味しそうなのって、すごくいやらしい表現ですね?』
『あら、ダメだったかしら?
だって、正直なところ女神七柱の方はそういう見方じゃない?
人それぞれの基準があるから、強さを基準にするのも否定しないけれど、私は不満よ。』
『はぁ、そうですか。
そうすると秋元さんの推しは?』
『それは悩みどころよね。
いい男がいっぱいいるから。
でも、強いてあげるならカーバンクルの蜂須賀亜蘭くんかしらね?
彼ってすごく美味しそうじゃない?』
『うーん。なるほど。
人それぞれということですね。
皆さん、参考になりましたでしょうか?』
龍太郎:「参考になるかぁ!?
怖っ!こいつヤバくないか?
どう見ても、こいつ元おっさんだろ?」
美紅:「あんた、松子も知らないの?
こういう人なのよ。
好き勝手に評論するのが受けてるのよ。
本当に何も知らないわね。」
龍太郎:「そうなのか。絶対、男だよな。
蜂須賀さんが趣味な元おっさん……。
やっぱ、ヤバいだろ!?」
カレン:「ふふふ、天堂くんじゃなくて良かったね!」
龍太郎:「そうだな。イケメンじゃなくて良かったよ。って!おい!」
その頃、百地景虎のマンションで景虎と亜蘭の2人は、同じ生中継配信を一緒に見ていた。
景虎:「おい!亜蘭!松子がお前推しだそうだぞ。美味しそうだって言ってるぞ。
お前、食われるかもな(笑)」
亜蘭:「へえ。松子は見る目あるね。
そっちの世界は未経験でよく知らないけど、一度お礼に行かないといけないね。」
景虎:「え?お前、懐深いな。
ちょっと尊敬するぞ。」
亜蘭:「お!景虎!もっと褒めて!」
景虎:「いや、褒めてないんだが……。」
『では、続いてメガミセブンについての予想に移りたいと思います。
ここからは後藤さんに意見を聞いてみたいと思います。どうでしょうか?』
『いやー、熱い!楽しみだよねぇ!
こっちも秋季は上位陣が強い!って感じだけど、前回のカレンちゃんはいいチョイスだったよねぇ!
あれで、順位に関係なく〈三涼美人〉って言葉が出来たもんねぇ!
あ!三涼美人って、琴音ちゃん、静華ちゃん、カレンちゃんのことね。
今回はこの3人の三つ巴じゃないかねぇ?
その他の女神ちゃんも違うタイプが揃ってんだよねぇ。
遥香ちゃんは、お姉さんタイプ。
萌乃ちゃんは、百合系タイプ。
亜里珠ちゃんは、妹ちゃんタイプ。
で、麗香ちゃんは、ザ・お嬢様!って感じでしょ?
いやー、いい!!実に楽しみだよねぇ。』
『ということは、今回は上位陣で硬いということでしょうか?』
『そうかもねぇ。
ただ、それだと面白くないよねぇ?
だから、ちょっと違うタイプを2つばかしピックアップしてみた。
まずはエロス系の4人組だ!
これを見てくれ!ダーン!』
後藤は絵が描かれたフリップを出した。
そこには、4人の女性エクスプローラが装備をつけた状態で描かれている。
『なあ?すごくエロいだろ?そそるだろ?
これは、横浜管轄のクラン、その名もエロティカシスターズ。
まだ、Cランクだけどねぇ。
代表が
そして、メンバーが、妹の
見ての通り、全員がナイスバディな上に、なんと言っても、このものすごく露出の多い装備だよねぇ。
胸の谷間がたまらん!
まさに男心に突き刺さる!
な!そう思うだろ?』
『これはすごい絵ですね。
後藤さんは、様々なエクスプローラの容姿を絵にすることで有名ですものね?
このエロティカシスターズは、この姿で討伐している訳ですね。
これは、実際に見て描かれた絵ですよね?』
『そうだよ。実際の姿だよ。
ちょっと、自分の紹介をすると、僕は大学でデザインを勉強してたってのもあるけど、元エクスプローラでたまにゲート内に入って、探検者の絵を描いてるんだよねぇ。
スキルも〈描写〉っていうスキルで、見た通りの絵にすることができるのさ。
以前に見たものでも、覚えてるものはそのまま描くことができるんだねぇ。』
『それは、すごいスキルですね。
エロティカシスターズですね。
これは世の男性に人気が出そうですね。
続いてのピックアップは誰でしょうか?』
『お!次か?進行が早いねぇ。
もう一つのピックアップはこちらのロリ系だ!ダーン!
こっちはまだDランクであまり知られてないんだねぇ。とっておきだ。
所属は渋谷管轄のあの夢咲カレンが代表の新クラン、ゴッドブレスユー!の唯一のメンバーだ!
名前は早乙女美紅。
幼顔に幼児体型!まさに典型的幼女!
コアなファンが付きそうだろ?』
同じく、装備をつけた状態の美紅が描かれたフリップを出して説明している。
美紅:「え?嘘!私じゃないの!?やった!
でも、言い方が悪いわね。
幼児体型ってのが余計なのよ!まったく!
発展途上って言いなさいよ!」
龍太郎:「本当だ!早乙女さんが紹介されてるじゃん!
幼女ってところがミソだな(笑)」
美紅:「うるさい!」
カレン:「美紅ちゃん。すごいね。
後藤さんに紹介されるって。」
美紅:「そうですか?わーい!」
一応、怒りながらも喜んでいるみたいなので、ここは放置しよう。
間違っても女神にはならんだろ。
『今度はロリ系幼女ですか。
後藤さんは守備範囲が広いですね?』
『違う!僕じゃないよぅ!
一部の趣味の人用ってことだよぅ。
僕はやっぱりバズーカ!っていうか。
そっち系だから!』
『と言いますと、ズバリ後藤さんの推しは?』
『そりゃ、夢咲カレン一択でしょ。
顔といい、スタイルといい、ちょっと日本人離れしてるでしょ?
僕もファンクラブ入っちゃったよぅ。
とにかく、今回は楽しみだねぇ。』
『なるほど。バズーカですね。
では、メガミセブンも楽しみにしましょう。』
『ところで、野神さんの推しってあるんでしょうか?』
『推しですか?
そうですね。皆さん推しですよ。』
『なんとも、無難な回答でした(笑)
では、そろそろ投票の時間も迫って来ました。
投票開始までは、各地の様子を確認していきましょう。
チャンネルはそのままでお願いしますね。
投票開始後には、なんと!スペシャルゲストにお越しいただく予定ですよ。
楽しみにお待ちくださいね。』
もうすぐ、投票開始か。
全然興味ないけど、夢咲さんがどうなるかだけは気になるな。
しかし、バズーカってなんちゅう表現するのねん!
確かに。チラッ。バズーカだけど……。
龍太郎たちは、コーヒーを飲みながら雑談で投票開始を待った。
このあと、予想外の展開が待っているとも知らずに……。
◇◇◇◇◇
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