2.千夏

2.千夏


 ぷかりと、お尻を浮かせて、だらあんと手足を伸ばす。

 いい。

 今夜のプランをおさらいする。

 宴会は、十名程度の小ぢんまりとした同窓会。

 会場は、『大蛇の間』。

 還暦の集いだが、同世代の女性の名が名簿にあった。

 「広瀬歩美 27歳 フリーライター」

 東京から父の代理で参加するのだと言う。


(東京かぁ)


 テレビでしか見たことのない、上野のパンダ、タワー、スカイツリー、渋谷のスクランブル交差点。

 脱衣所へ向かう。

 下着をつけ、 手早く、白いショートパンツを履く。

 ゆっくり、髪を乾かす。

 営業用の、重いドライヤーで左右の黒髪を、時間をかけて念入りに。

 左から、右。

 白いTシャツから、くっきりと浮き出た左右の乳首が、何事にも負けない強い意志を主張している。

 準備が出来た。

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