第8話 見失い、蔑ろにする価値観

生まれた時に、産声を上げた時に


人の『普通』はその瞬間に決まってしまう


目が見えない、耳が聞こえない……


色々とあるだろう


性自認も同様だよね?


ボクが好きな彼には、気持ち悪いと言われたけど


ははっ


みんなは『普通』に恋愛してる


ボクも女の子と恋愛したいなぁ


いっぱい、甘酸っぱい恋愛を


でも、ボクの『普通』はそうじゃない


でも、彼に振り向いてもらいたい


彼が好き、彼を愛してる、その辺の女よりも幸せにできる


どうして? なんで? 性別ってなに?


ボクのどこがいけないの?


ねぇ、教えてよ……


真夜中、道を照らすのは街灯だけ


ボクは車椅子に座って、彼の背中を追う


ねぇ、どうして?


ボクは彼の瞳をひとつ手に取ると、口の中で転がす


人って、千差万別だよね?


ボクは拘束されて、絞首刑を言い渡された


やっぱり、ボクは何者?

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