59枚目『草原と共に ―叢凪ヶ原(むらなぎがはら)―』

 四方は季節によって色を変える草の海、その中にたたずむ街、叢凪ヶ原むらなぎがはら茅葺かやぶき屋根の並ぶ和風の町並みには積雪が良く似合う。魔導列車の終着駅があるこの街は、その駅舎も立派な茅葺屋根の建物だ。


 街を出ると、周りに木一本すら生えていない雪原が広がっている。後ろを振り返れば、さえぎるものの無い町が良く見える。


 この景色が見られるのは冬の間だけ。春になれば大地から草が芽吹いて、海の潮が満ちていくように街が草原に沈んでゆくのだ。

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