41枚目『白黒の天地 ―ホワイダン・ブラップ大空洞―』

 誰も信じはしないだろう。


 かつてこの場所に鍾乳洞しょうにゅうどうがあったと。


 なぜなら、今は全く違う光景が広がっているからだ。


 大きな空間は地面が花崗岩かこうがんの白、天井が玄武岩げんぶかんの黒。所々に繁茂はんもする地下植物たちと、それが放つ淡い光。大まかにこの4種類の色で構成されている。


 目をらすと、地面にわずかに残る黄色っぽい方解石ほうかいせきのみが、昔は違う姿だったことを語っている。


 どんな姿であれ、この空洞は自然の織り成す幻想的な地下空間であり続ける。

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