歌仙「朧月の巻」
り(PN)
歌仙「朧月の巻」
歌仙「朧月の巻」(流出子/捌き:冬泉)2017/04~12月
一枚目の表
発句【春】(初折)(月)朧月共に眺めむ人もがな
脇 【春】おとなひあるや春の暁闇(かはたれ/かたわれ)
第三【春】草餅を食みて頬までふくよかに
四 【雑】汽車の窓辺に広がる大地
五 【雑】(月↑)緞帳の降りても拍手鳴り止まず
六 【秋】(折端)高きに登り突風に乗る
一枚目の裏
一 【秋】(折立)竜田姫歩む先より紅映えて
二 【秋】砧を打ちて涙はらはら
三 【雑】怪獣の寝息恋しき貸倉庫
四 【雑】時のまにまにバリシカも揺れ
五 【雑】ひからびた豹のかばねは謎のまま
六 【雑】硬貨投ぐれば卦は沢火革(たくかかく)
七 【夏】チェレンコフゼリーにたかる電気蟻
八 【夏】(月)葦簀洩れくる月は涼しく
九 【夏】幼少時汗疹攻略天瓜粉
十 【雑】吟遊詩人の喉も枯れたり
十一【春】(花)石の夢春の嵐に花の雨
十二【春】(折端)川面たゆたふ初筏かな
名残り(二枚目)の表
一 【春】(折立)鐘霞む脚のきれいな独裁者
二 【雑】天使も学ぶ修道院へ
三 【雑】異装解き禁域(クラウズーラ)に迷ひ込み
四 【雑】我があらましの成就せらるや
五 【雑】白金の未来飛ぶ船軽やかに
六 【雑】鳥の渡りのトラクトグラフィー
七 【冬】折紙をこすつてうつす冬椿
八 【冬】ハグは熱めに燗はぬるめに
九 【冬】風呂吹きを鬼一口に食ひければ
十 【雑】寄り目で睨む若き亡妻
十一【秋】(月)ひさかたの月面基地(ムーンベース)をつつむ靄
十二【秋】駒牽歌も賑はふ木曽路
名残り(二枚目)の裏
一 【秋】薬掘り卉根洗ふ手凛として
二 【雑】珈琲二客くるくる回り
三 【雑】南北の逆転証すチバニアン
四 【春】笑ひそめたる山の賑やか
五 【春】(花)花衣潤みて空の甕のぞき
挙句【春】しづごころあれ聞茶の烟(けぶり)
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