どうしたら恋人が作れるのか化学的に計算してみた
みなもとあるた
どうしたら恋人が作れるのか化学的に計算してみた
どうすれば恋人が作れるのか。
これはおそらく人類史上最大の問題と言っても過言ではないでしょう。
その証拠に、人々は異性に気に入られるために日夜努力を続けています。
運動、筋トレ、ダイエット、ファッション、美容、話術などなど…
実際にそれで恋人ができるかどうかはさておき、異性に気に入られたいという目標のためにこれだけの努力を続けられるということは本当に素晴らしいと思います。
かく言う私も学生時代は同じようなことを考えており、「どんな特技を身に着けたら恋人ができるんだろう?」とか「簡単にモテる方法ってないのかな?」などと不純なことを考えたこともありました。
しかし、当時の私は理系学生。
周りにいるのは同世代の理系男子ばかり。趣味の話で盛り上がれる理系女子なんてラノベみたいな存在が教室にいるわけもなく、その代わりに目の前にあるのは化学式。
するとどうなるでしょうか?
「あ、この式を使うと恋人ができる確率を計算できそうだな」
そんな思考になるわけですね。
というわけで、今回は反応速度論という理論を使って恋人を作る方法について考えていきたいと思います。
まず反応速度論とは何なのか?
反応速度論とは、その名の通り化学反応の起きる速さを計算するための学問です。
例えば物質Aと物質Bを反応させて物質Cを作りたい場合に、できるだけ早くたくさん物質Cを作れたほうが嬉しいですよね。
この時に反応速度論を使うと、効率的に物質Cを作るための方法も分かってしまうというわけなのです。
例えば、「ひとつの分子Aとひとつの分子Bが反応して分子Cができる」という反応の速さは、以下の式で表されます。
v = k[A][B]
v:反応の進む速さ
k:反応速度定数
[A]:分子Aの濃度
[B]:分子Bの濃度
この式が表しているのは、「分子Cを早くたくさん作りたいならkと[A]と[B]の数値を大きくすればいいんだよ」ということです。
当たり前と言えば当たり前ですが、大量の分子Aと分子Bを混ぜ合わせた方が反応はたくさん起こりやすいですよね。反応速度の計算式を見ることでそれが正しいということが改めて数式として証明されたのです。
さて、勘のいい方はもうお気づきかと思いますが、ここまでの話は何かに似ていると思いませんか?
そう、「ひとつの分子Aとひとつの分子Bを反応させて分子Cを作る」という化学反応の理論は、そのまま「一人の男性と一人の女性が出会ってカップルになる」という現象に応用することができるのです。
これを踏まえたうえで、上の式をもう一度見てみましょう。
v = k[A][B]
v:カップルのできる早さ
k:反応速度定数
[A]:男性の人口密度
[B]:女性の人口密度
こんな感じに書き換えると、さっきまでは完全に化学っぽかった計算式が突然超わかりやすくなりましたね。
さっきは分子Aと分子Bで説明しましたが、発生している現象としてはカップルも化学反応も全く同じことです。
男性と女性のカップルを大量に作りたいのであれば男性と女性の人口密度を増やせばいいのであり、逆に言えば男性か女性のどちらか一方しか存在しない空間に居たら、いつまでも男女のカップルは出来ないということです。
これではっきりしましたね。もしあなたが異性の恋人を手に入れたいのであれば、なるべく異性が多い空間に行くと良いでしょう。
いかがでしたか?皆さんも異性の恋人が欲しかったら、異性がたくさんいる空間に一日中居ましょう。そうすれば間違いなくすぐに恋人ができるはずです!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
…なーんて、世の中そう上手くは行きませんよね?
もしこの式だけでカップルのできる早さが決まってしまうなら、通勤ラッシュの満員電車なんてすぐにカップルだらけになってしまうはずですが、実際はそんなことありません。
ではこの式は何が間違っているのでしょう?
v = k[A][B]
注目すべきはこの k の部分です。実はこのk、つまり反応速度定数と呼ばれるこの数値の大きさも状況によって変わるため、いくら男女の人口密度が高くてもこのkの数値が小さければぜんぜん反応は起きないということです。
例えるなら、「ただ道ですれ違っただけの男女」と「ゾンビから逃げてサバイバル生活しているうちに偶然出会った男女」のどっちがカップルになりやすいか、ということです。
「ただ道ですれ違っただけの男女」は一緒に居たとしてもカップルになることはほぼないと思いますが、「ゾンビから逃げてサバイバル生活しているうちに偶然出会った男女」であれば間違いなく行動を共にするでしょうし、一緒に危機を乗り越えているうちに恋心が芽生えることもあるでしょう。これが反応速度定数kの違いであり、反応の起きやすさに影響を与える要素でもあります。
k の数値は以下の式で表されます。
k = A exp ( -Ea / RT )
k:反応速度定数
A:頻度因子
Ea:活性化エネルギー
R:気体定数
T:温度
以上を簡単にまとめると、T(温度)を高くしてEa(活性化エネルギー)を小さくすればkの数値も大きくなって反応も進みやすくなるということです。
おそらくこの説明だけではよく分からないと思うので、またしてもカップルに置き換えてみたいと思います。
k = A exp ( -Ea / RT )
k:カップルのできやすさ
A:定数(とりあえず無視)
Ea:カップルになるためのハードルの高さ
R:定数(とりあえず無視)
T:テンション
これでだいぶ分かりやすくなりましたね。
カップルのできやすさは、T(テンション)とEa(カップルになるためのハードルの高さ)に左右されるのです。
まずテンションについてですが、「その場の雰囲気がいい方がカップルになりやすい」と言えば分かりやすいと思います。楽しい飲み会とお葬式ではどっちが恋人を作りやすいかということです。
その場の雰囲気を改善するために自分で盛り上げるのもいいですし、あるいはもともと楽しい雰囲気になっている場所に行って異性に話しかけるのもいいかもしれません。
次にカップルになるためのハードルの高さですが、こちらは色々と複雑で様々な要素が絡んできます。そもそも「カップルになるためのハードルの高さ」に影響する要素がいくつも考えられるからです。
例えば外国人を恋人にしようとする場合なら、言葉や文化の違いというハードルが存在しますよね。一方で同じ国の人同士ならこういったハードルは存在しませんし、宇宙人を恋人にしたいのであればもっと高いハードルが存在することになります。
また、たとえ同じ国の人同士でも考え方や価値観が違ったり、自分が相手にとって好みのタイプでなかったりしたらハードルは高くなります。一般人と超お金持ちでは金銭感覚が違いすぎて苦労することもありそうですし、相手が人間の恋人を作りたいと思っているのに自分が猫だったらなかなか恋人にはなれないでしょう。
以上のことから、「カップルになるためのハードル」というものは様々な事情や状況によって結構変わってしまいます。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、相手と自分の相性が悪ければカップルになるためのハードルも高く、その分だけカップルになれる確率も下がるということです。
逆に言えば、ハードルさえ下げてしまえば狙った相手とカップルになれる確率は上がるということです。そのためには相手と自分の間にあるハードルを見極めることが大事です。
どうすれば相手との間にあるハードルが下がるのか、何がハードルになっているのか、今現在のハードルの高さはどれくらいか…そういったことが分かるようになってくると上出来です。
しかし、相手のハードルを見極めようとしてストーカーのようになってしまうのは良くないですね。当たり前ですが相手に不快感を与えてしまった瞬間にハードルは一気に上がるものだと思ってください。
さて、ここまで反応速度論の計算式を用いてカップルの出来やすさについて解説してまいりました。
以上はあくまで計算上の話ですので、これを読んだ方に恋人ができなかったからと言って私は一切責任を取れませんがご了承ください。
皆様に良き化学反応がありますように。
【異性の恋人を作るためにするべきことのまとめ】
・まずは異性の多い所に行く。人間のいない所では恋人はできません
・ただ満員電車に乗っていても恋人はできないのでゾンビから逃げるサバイバル生活をする
・楽しい所で相手を探す。お葬式では恋人は作りにくいと思います(ただし未亡人は除く)
・自分と相手の価値観を近付ける。宇宙人を恋人にできた例はちょっとしかない
・相手の好みのタイプになる。相手が人間好きならまず人間になれ
・反応速度論の単位は落とすな。私は一回落とした
どうしたら恋人が作れるのか化学的に計算してみた みなもとあるた @minamoto_aruta
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