七
「ですから、何度もお答えしているように。こちらにはそんな名前の職員は居りません」
どれくらい、毎日見ていた笑顔が私を蝕む。他者を拒むように続く、工事用フェンスが覆う図書館を出る。泥の中を歩く足取り、不意の小雨が頬を濡らす。振り返った先には誰も居ない窓。桜の木には花はなく枝ばかりが空に広がる。
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