昼下がり
水無月ハル
曇りの昼下がり
どこか湿っぽい空気が窓から覗く。
灰色の空は、ビビットの白を透かしたまだら模様のレースを靡かせて、冷たい風を優しく送る。
君は短い髪を揺らしながら、本の文字をなぞる。細長い指でページが捲られ、古い紙の掠れる音が耳を燻る。
俯いて本を読む彼女の姿を見ていると、ぶっきらぼうな言い方で見るなと言われる。
けれどそれ以上は言わず、また本を読み始める。
そう言った君の姿が、優しさが、私は好きなのだと確信する。
薫ったお茶の香ばしさに気づき、緩くなったルイボスを口に含んだ。
日が差す。
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