第5話 帰路
大通りを再び歩く
「服も買ったし、今日はうちに泊まりなよ」
「……う、うん。頑張るね、」
頑張る?何を頑張るつもりなんだろう……
「先月、バーグに家を買ったんだ。馬車で向かおう」
「……うん」
俺たちが今いるハンバ市と家があるバーグ村は隣接している
近いから来る時は走って来たが、今は買い物袋もあるしソーレもいる
馬車で帰ろう
◆◆
馬車の中
「リヒト、何から何まで私なんかの為に……、ごめん」
向かいに座るソーレは伏し目がちに口を開いた
「別に謝る必要なんてない」
今のソーレは自分を卑下するようになってしまっている
これも奴隷として過ごした影響だろう……
何でソーレがこんな目に合わなくちゃいけなかったんだ
憤り感じた俺の拳に力が入る
「……、殴るの?」
「え?」
ソーレの予想だにしなかった発言に
思考が一瞬停止する――
「……どうぞ、」
ソーレは身を寄せてくる
「そんなこと、しないよ……何でそう思ったの?」
「手……」
手?
もしかして……握り拳を見ただけで、自分が殴られるって思ったのか?
何だよ、それ、今まで……どんだけつらい生活を送ってきたんだよ!
「ひぃっ!」
ソーレが小さな悲鳴を上げた
窓に反射した俺の険しい顔が視界に映る
落ち着けっ、俺、今は感情的になるべきじゃない!
一番つらいのはソーレだろ!
早く安心させないと……
「……イライラしてっ、る、ならっ、いっぱい……殴っていいよ?」
沈黙に耐えかねたのかソーレが口を開く
「ごめんなぁ、別にイライラしているわけじゃないんだ……だからそんな悲しくなるようなこと、言わないでくれ」
「……分かった」
ここから村につくまで俺たちは一言も喋らなかった
◇21時までにあと一話あげます!
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