恋愛愚者たちの攻防 ~タイムリープで学ぶ告白防衛法入門~

ワッショイよしだ

序にかえて

 彼女との関係といえば、まさに“幼馴染”であった。


 市立病院での出生は同時刻。その時にお隣さんであったことを皮切りに、


 家も隣、


 幼稚園も同じ、


 小学校も同じ、


 中学校も同じ、


 高校も同じ、


 そして大学にいたるまで同じ路線を選び続けたこの偶然、


 職業・幼馴染と職務経歴書に記載してもおかしくない程の超弩級の大大大幼馴染である。


 もはや家族以上となったその関係は壮大かつ美しい友情物語そのもので、


 書物にすれば20巻揃の大河小説が書き上がること間違いなく、


 語るとすれば残りの生涯を費やしても時間が足りないだろう。


 実に20年もの長きに渡って、私は彼女を支え、彼女も私を大いに助けてくれたものだ。


 だが……


 この世の中、そんな美しい友情関係が永遠に続くことはないことを、私は身をもって体感してしまった。


 彼女が発した、たった一言によって。



(注)


 私は、私の体感したこの奇妙な話を「教訓」として後進の者たちへ伝えていくつもりで筆をとった。そしてこの文章が貴方に読まれている――ということは、きっとこの兵法書が役立つ時が、貴方の身に降りかかったということであろう。

 この書を通じて、貴方が少しでも快適な「恋愛防衛ライフ」を送ることを切に願う。


 私はさして名乗る気はないが、著者として「後知恵あとぢえ浅慮せんりょ」とでも呼んでもらえれば幸いだ。

 その名の意味も、いずれ分かるだろう。

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