宝石オパールは語る_7 ~2つの顔~
色石ひかる
第1話 問題編
私は
宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の
「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」
「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」
展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。
最初にボルダーオパールを眺めた。大きさや形状が異なるルースがたくさん並んでいた。発色のよいルースはブラックオパールといわれても違和感がなかった。
となりのガラスケースへ視線をむけた。ブラックオパールが並んでいる。
「初めて見るルースがあるみたい」
芽衣子さんへ視線をむけた。
「新しいルースを入手しました。気になったルースがあれば取り出します」
「目移りしそう。決まったら声をかけるね」
引き続き、ブラックオパールを眺めた。
1つのルースケースに目が留まった。青色と緑色が鮮やかなルース。見る角度で色が変わった。でも興味を引いたのはラベルの言葉だった。
「ダブルフェイス?」
小声で思わず読んでしまった。直訳すれば2つの顔。たしかに青色と緑色が角度を変えると別の顔になる。ただブラックオパールなら当たり前の変化だった。わざわざラベルに書く意味がわからない。
見る向きを変えて眺めたけれど、今までに見たルースと大差はなかった。同じようなルースに比べて値段が高めに感じた。
「見た目もカットもほかのルースと変わらない。大きさも指輪にするとちょうどよい大きさで、珍しくないよね」
私の声が聞こえたのか、芽衣子さんがこちらに視線をむけた。
これ以上は考えていても分からない。すなおに聞いたほうがよさそう。
「芽衣子さん、ダブルフェイスの意味が分からない。もしかして、このルースはブラックオパールとは異なるの?」
「れっきとしたブラックオパールです。ただ珍しいルースでもあります」
ブラックオパールの場所に、間違って置いたわけではないみたい。見た目が変わらないルースの真相を知りたくなった。
「きれいなルースよね。でもどのあたりが普通のルースと異なるのか知りたい」
芽衣子さんの発言をまった。
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