第9話
「ねえ、姉様?」
「なあに?妹よ。」
「………………………………………どうするのかな?あれ。」
馬車の中、妹と二人。
馬車の遥か後方には、魔族の一族と魔物の集団がゾロゾロと着いてきていた。
目視できなきほど遠くから、常に一定の距離を保ったまま。
普通なら馬車の速度に合わせるために土煙でも上げそうなものだけど、まるで氷の上でも滑るように滑らかに。
救出した辺境伯一族は、一足先に帰されていた。
適齢期の女性が5人、
マッチングしてくれるといいけど?
「このまま着いてこられると、領内に入る前に領民がパニックになるわよお姉様?」
「はぁ?仕方ないわね、ねえ、『魔王』?」
『はいっ!何でしょうか御主人様!!』
先程まで、キリッとした二枚目の表情を崩さなかった魔王は尻尾でも振っているんじゃないかと思うほど嬉しそうに返事をした。
「…………………………へぇ〜、ここからでも聞こえるんだ?」
「っ!勿論ですとも、御主人様!!」
まあ、ここから『見えて聞こえる』私達姉妹も大概だと思わなくもないけど。
「………………………………………もしかして、私達が『視えてる』?」
『……………………………………………』
「………………………………………やめてよね?視ちゃ駄目よ!」
『………………………………………はぃ。』
「今度視たら、索敵防止魔道具常設と『お仕置き』するわよ?」
『『『『『っ!お仕置き!!是非にお願いします!!!』』』』』
「「………………………………………」」
まさか、魔王配下の全員に聞かれて視られてたなんて私達もまだまだだわね?
改めて修業しないとね?
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