第4話
「こちらへどうぞ。」
執事長に案内されて、客間へ。
「………………………………………」
「ようこそ、我が屋敷へ。」
「………………………………………」
「貴方の事を聞いてもいいかしら?」
「…………………………わからないんだ。覚えていないんだ。」
「怪我をしているわね。治してあげるわ。
『エクストラヒール!』」
「………………………………………」
「貴方、何者?」
「………………………………………わからない。」
「執事長!」
ベルを鳴らすと、控えていたメイドが、
「うわっ、なんと!」
「シーツを巻いてあげて。先ずはお風呂かしらね。合いそうな服も用意してあげて。
貴方、せめて身体を隠すとかしてくれるかしら?」
ゴキブリだった彼は、金髪碧眼の青年に変わっていた。
※※※※※※※※※※※※※※※
『…………………………大っきかったわね。兄様のよりも、大っきかったわ。』
戦地では当たり前のように兵士の裸体は目にしていましたが、このように対面で見たのは兄様以外では初めてかも。
「ねえ、姉様?」
「何かな?」
「見たんですって?」
「………………………………………」
「黙ってないで、教えて!」
「………………………………………見たわよ?」
「じゃ、『お婿さん』に貰ってあげないとね!」
「………………………………………貴族だったらね?」
貴族には、未婚の男女が全裸を見られたら『婚姻を結ぶ』習慣が有る。
『………………………………………貴族だったらね………………………………………』
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