第92話 変わらず嫌なやつ
エアルリーザ様のあの笑顔や今の穏やかな心境が続いてほしくて、より一層何が起こっても対処できるよう力を付けることに日々励んでいた。
午前の騎士訓練、午後の魔法修練が終わり、『ゲート』で帰ろうとしたら、オルヴェルド公爵家使用人のマベルさんにオルヴェルド公爵現当主エヴィンカル様が呼んでいると言われ、執務室に向かい、入室の許可を取り中に入る。
部屋の主エヴィンカル様とオルヴェルド公爵家の契約精霊セディスさん以外にも今日も可愛いエアルリーザ様と彼女の母上で第一夫人の綺麗なアウルーレ様。
それから第二夫人のトリーリア様、エヴィンカル様とトリーリア様の息子とは思えない嫌なやつ、公爵一子で長男で嫌なやつエンダース、様がいた。
「俺達を待たせるとは何様のつもりだ?」
「……」
「待たせたのだから土下座しろよ。」
「……」
「おいっ!無視するなっ!平民風情がっ!」
「……」
ちらっとエンダース、様に目を向けてからエヴィンカル様達を見るとエヴィンカル様はこめかみに浮かぶ青筋を揉んで、トリーリア様は両手で顔を覆って、アウルーレ様とエアルリーザ様はエンダース、様に呆れた顔を向けて、セディスさんは悲しそうな表情をしていた。
極力会わないように過ごしてきたけど、性根は変わっていないんだな……
「……はぁ、遅れて申し訳ありませんでした。」
床にプチクリーンをかけて土下座をするとエンダース、様に頭を足でぐりぐりとされる前に頭と足の間に結界を張り、ぐりぐりされているかの様に頭を適当に動かす。
「最初っからそうしろよなっ!」
「「「っ!?」」」
エンダースサマは結界をぐりぐり、ぐりぐりと何度かして満足したようだ。
はぁ、面倒臭いなぁ……
「お父様、それでぐぼあああ」
エンダースサマが言い切る前にエヴィンカル様が机を飛び越え素早くエンダースサマの目の前へ行き、速度を緩まず勢いのままエンダースサマをぶん殴った。
エンダースサマは執務室の壁にぶつかり、床に倒れ動かない。
そんな彼に誰も「大丈夫っ?」と駆け寄って心配する様子も見せない。
一応胸が上下しているから生きてはいるだろう。
「ラハートフ、すまない。」
「いえ、結界を張ったので頭も汚れていませんし、気にしてません。」
「……それでも、すまない。」
「ラハートフ君、ごめんなさい。」
「エヴィンカル様、トリーリア様、本当に気にしていないので、いいですよ。 エヴィンカル様、それでなぜ私は呼ばれたのでしょうか?」
「……うむ。ラハートフも七歳になったのだろう?明日適性属性と魔力量を鑑定する日なのだ。一緒に行ってもらおうかと思ってな。」
「明日ですか?大丈夫ですが、適性属性って何ですか?」
「そうか、では一緒に行こう。適性属性とはーー」
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