第93話 適性属性

がたごろ、がたごろと音を立てて進む馬車の中にいる。

もちろん大きなチャイルドシートのプチウィンドに座っている。


六歳、七歳の誕生日パーティーのときに乗った馬車よりは多少揺れは少ないけれど、無理。

吐きそうになると思いプチウィンドを使った。


エアルリーザ様がすぐ気がつき、エアルリーザ様と彼女の母上アウルーレ様のも用意させていただき、お二方様がそれに座ってらっしゃる。

専属侍女のメリルさんにも用意しましたとも。


座ってるだけで自分とは違い高貴さが溢れ出ている。

目の前に女神様と天使様が並んで座ってらっしゃる。


エアルリーザ様、美し可愛格良いっ!

良いっ!

アウルーレ様と母娘セットで目の保養に最っ高!


ここは天国かっ!

あぁ、癒されるぅ……


隣からの寒い冷たい視線には気づかないふりをする。


馬車が二台並んでオルヴェルド領領都オルーヴェの教会へ向かっていて、前の馬車にはオルヴェルド公爵家現当主エヴィンカル様とトリーリア様と一子で長男エンダースサマが乗っている。


エンダースサマは都合良く?昨日のことを覚えていないみたいだ。

なぜか気分良く乗っていらっしゃった。


後ろの馬車は女神様ことアウルーレ様と可愛い天使様エアルリーザ様と、下僕のわたくしことラハートフとメリルさんが乗っています。


教会で一年に一回七歳を迎えた子供が集まり、適性属性と魔力量を鑑定してもらうらしい。

オルッシュでもしているらしいが、エヴィンカル様に誘われて?エアルリーザ様とエンダースサマと共にオルーヴェの教会に向かっている。


適性属性とはなんぞや?と思った。


だってファイアウィンドウォーターアースライトリペア生産?ボックス空間?グロース植物?が満遍なく使える。

プチだけど、使えるじゃないかと。


そういえばと、闇……ダーク?もあるのかな?と馬車の中で思い浮かび「『プチダーク』」と呟くと雷雲みたいな黒い靄が出た。


これ、細くして目のところに持っていったらモザイクされた人みたいになるな、っふふ。


エアルリーザ様とアウルーレ様、メリルさんに変な目で見られていたことには気が付かなかった。



教会に到着し、先に降りる。

手を差し伸べて降りるのを補助する。


ちょんと手をのせるエアルリーザ様は可愛いっ!


次にアウルーレ様をと補助しようとしたら、扉の前にメリルさんがいてアウルーレ様の補助するメリルさんの姿に不覚にも格好良いと思ってしまった。

ぱく、参考にしよう。


自分達以外にも自分達のように馬車で来る者や徒歩で来る者が教会の中へ入っていった。


自領の教会だからか最前列にエアルリーザ様達は座る。

エアルリーザ様に手を引っ張られ、エアルリーザ様の隣に座らせられた。

座らさせてもらった。


エヴィンカル様、エンダースサマ、トリーリア様、アウルーレ様、エアルリーザ様、俺の順に座っている。

メリルさんは厳しい目をしながら横で立っている。

後ろは貴族っぽい人達が座っていて俺の方に視線を向けている。


俺、ここに座ってていんだろうか……


「エンダース・フェン・オルヴェルド様、前へ」


始まった。


「ふっ。」


なぜかドヤ顔を俺に向けてから前に進んだエンダースサマ。


えっ?なに?なんでどや顔?


「エンダース様は風と水属性、光属性の適性がありますね。」


「当たり前だな。」


適性属性があるとその適性のある属性が使いやすくなったり消費魔力量が減ったりするらしい。

適性のある属性の初級、中級、上級魔法が使用できるようになるらしい。

適性がないと初級魔法さえも使えないと聞いた。


「次は魔力量を……」


魔力量の鑑定の水晶が溢れんばかりの光が出る。

光が明るいほど魔力量が高いようだ。


「なんと、素晴らしいです!」


「ふっ。当たり前だ。」


エンダースサマがドヤ顔で戻ってくる。


うちのエアルリーザ様の方がすごいぜよっ!

魔力量では「めがー!めがー!」ってなるかもしれないな。


「エアルリーザ・フェン・オルヴェルド様、前へ。」


「はい。」


エアルリーザ様は堂々としてらっしゃる。


あのエアルリーザ様の片鱗を見せてますね!

今は格好可愛いだけど、それも良いっ!


「な、ななんと!全属性っ!」


「「「!?」」」


エアルリーザ様ならあり得るなと思って別に驚かなかったけど、エヴィンカル様とトリーリア様、アウルーレ様とメリルさん以外の人達がめっちゃ驚いている。

エンダースサマも驚き、怖い顔をしてめっちゃ睨んでいる。


そんな凝視していると危ないよ。


注目されているなかエアルリーザ様が魔力量の鑑定の水晶に触れると案の定エンダースサマより強烈なとんでもない光が出て「「「めがーめがー!」」」と悲鳴が上がる。


まぁエンダースサマであのくらい光ったから、こうなるだろうと予測して覚えたてのプチダークでサングラスっぽいのを作って回避した。

エアルリーザ様とエヴィンカル様達(エアルリーザ様を睨んだエンダースサマを除く)の目もそれで覆って被害を回避。


エヴィンカル様達が俺の方を見てくるんだが?

何かしただろうか?


教会全体が大騒ぎのところをエヴィンカル様の一言と回復魔法で、少し落ち着き他の子達の鑑定が続く。


てっきりエアルリーザ様の次かと思って立ち上がる準備をしていたんだが、違う名前が呼ばれ、おっととってなった。


恥ずかしい……

呼ばれる順番は席順じゃなく身分順っぽい。


呼ばれないのにエアルリーザ様の隣に座っているからますます「あいつ誰?」という視線を向けられた。

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