第73話 騎士見習い達の初陣 2

オモイコミー達の会話が無くなり荒い息を吐くだけになってから数十分、少し開けた場所に着いた。

先に着いていた領兵達が天幕や竈などを設置していた。


「お疲れ。息が整ったら、天幕を張れよ。」

「「「「はぁはぁ、は、はい……」」」」


馬車の御者を教えてくれたベテラン騎士アガスさんが指示を出して離れていく。

オモイコミー達は天幕が張られていない空いた場所に腰を下ろす。


「つ、疲れた。」

「ふ、ふんっ。俺はまだまだ行けたぜ。」

「ふぅー、良い訓練になるな。」

「……」


少し休憩をして話せるようになったオモイコミー達がゆっくりと天幕を張っていく。

天幕を張り終わると見計らったように「集合!」と号令が出る。


領兵が集まり各班に指示が出されていく。

騎士見習いのオモイコミー達と俺は料理担当。


料理をしながらアガスさんに他の役割を教わる。


これから殲滅にしに行くゴブリンの村や周辺を確認する偵察。

野営地の周辺の安全を確認する見廻り。

簡易陣地(鳴子や草を結んだ罠)を設置する者。

食事を作る料理担当。

殲滅の作戦を練る、確認する隊長達。


どの役割も大事、疎かにしてはいけないと何度も言われた。


偵察に出ていた一人が報告に戻ってきた。

ゴブリンの村は半数以上が杖を装備しているゴブリンメイジと確認できただけで七体のハイメイジがいたそうだ。


見習いの訓練の為に一週間毎に間引きをして調整していたらしいが、なぜか増えにくい上位種のメイジが半数以上いたそうだ。


少しざわついた。


全員に極力魔力を使わないようにと指示が出された。


その後夜の見張りの順番を決めたりとあっという間に時間が進んだ。


ちなみに料理はコンソメもどきの粉をホットウォーターで溶かし『変種』され魔力で育つ野菜を入れ煮込んだポトフみたいなものとパンとキヤさん監修?の燻製肉。


オルッシュの生産品特産品、コンソメもどきや燻製肉などのおかげで野営時の食事が美味しくなったと評判が良い。

オルヴェルド公爵領軍が定期購入してくれるから安定した収入源である。


俺は五歳児だから見張りなし。

いっぱい寝てくださいだってさ。


ということでちゃっかり『ゲート』で家に帰り母さんの抱き枕になり一緒に寝て、早朝『ゲート』で野営地に戻ってきた。


オモイコミー達がすでに起きていて、昨日メイジが半数以上いると聞いたからか緊張している様子が見られた。


挨拶を交わし、朝食作り。

ポトフみたいなものと、茹でたソーセージを挟んだパン。

デザートにこっそりプチボックスから出したドライフルーツ。


ベテラン組から視線を感じたが、気づかないふりをした。

美味しい朝食にオモイコミー達の緊張が少し取れたように見てた。


作戦最終確認。

魔法同士の衝撃で視界が悪くなり、不利になって逃げるゴブリンを見逃す可能性があるため、囲う壁を作る。ラハートフ様が。


ハイメイジを真っ先に斃す。ラハートフ様と魔法使いの領兵達が。

しかしメイジが多数いる原因を見つけるため村はできるだけ破壊しないようにする。


魔法使いの領兵達はライフル弾プチアース(維持、発射など同時発動)を習得しているから問題ない。


騎士達は防御陣形でゴブリンに魔法を放てなくなるまで魔法を使わせる。

その後殲滅を開始。


ラハートフ様が上空から魔法使いが地上で援護、メイジを優先で斃す。


なんかすごく重要な役割を任されたな……


メイジが二、三体くらいの村だったから村の周りに等間隔で班を配置し、段々と狭めていく作戦だったらしい。


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