第15話 討伐
魔物の数を数えて指揮官様に報告した。
指揮官様は「キングは領兵、クイーンは冒険者。」と指示を出した。
俺には「教会に戻りなさい。」と言う。
俺は迷った。
マジールさんと魔法の検証試行をしていた。
だから魔法使いのように攻撃できるんじゃないか、攻撃に参加できるんじゃないか、魔物を数えたように飛んで連絡係だけでもできるんじゃないかと迷っていると指揮官様に「大丈夫だ、私達に任せなさい。」と強く言われ、教会に戻った。
結界を囲んでいた魔物はキングとクイーンの指揮下に入ったのかいなくなっていた。
グリフォンプチウィンドに乗り結界ぎりぎりの上空から戦場を見る。
救援隊の魔法で開幕と同じようになるかと思いきや、指揮されたハイメイジとメイジの魔法で防がれてあまり斃せなかった。
それでも冒険者達の方は魔物との戦いに慣れているのか優勢だ。
領兵の方は均衡している。
背後から攻撃するべきか迷う。
領兵さんが一人倒れるのを見て身体が動いた。
急ぎ飛んでいつもより魔力を込めた大きいドラゴンプチファイアをキング達の後方上空から上位種の数だけ上位種に放つ。
キングとハイメイジがドラゴンプチファイアに気づいた。
キングは避けすれ違いざまに剣で斬りプチファイアを消し去り、ハイメイジには水の壁を張られたことでダメージを軽減された。
他の上位種はのみ込まれ炎上し倒れる。
瀕死。
ゴブリン達は混乱、領兵達が一瞬動きが止まるが指揮官様の声ですぐに動き隙のできたゴブリン達を斃していく。
キングが怒りの咆哮をあげた。
身体が、動かない!
身体が膠着してしまい、魔法の制御もできなくなり逆さまになって落下してしまう。
数秒後膠着が解け急いでグリフォンプチウィンドを制御、操作し上空に留まる。
ほっとしたのもつかの間、ビュンと何かが顔横を通り過ぎる。
また通り過ぎた。
遅れて耳に激しい痛みが生じる。
絶叫した。
耳を押さえた手が何かで濡れる。
激しい痛みに正常な判断ができない。
完全に制御を失いグリフォンプチウィンドが消え落下する。
何が起こったのかわからないが落下していることだけはわかる。
どうにかグリフォンプチウィンドを使おうとするが激しい痛みに魔力制御が上手くできなくて発動できない。
あぁ、ごめん父さん、ごめん母さん。
落下死か。即死だといいなと諦めてしまった。
ふわっと何かに包まれた。
いつまで経っても衝撃が来ない。
恐る恐る目を開けると抱っこされたくらいの高さで浮いていた。
なんだ?何が起こっているんだ?なんで浮いているんだ?と混乱していた。
次に耳の痛みがなくなった。
そしてゆっくりと地面に下ろされた。
ガキンと硬い物同士が当たる音が聞こえて、バっとそっちの方を見ると指揮官様とキングが戦っていた。
鍔迫り合いからキングが蹴りをして、指揮官様が後方に避け距離をできる。
キングが足元の瀕死状態のジェネラルの首を切った。
意味のわからない行動に指揮官様は固まる。
その一瞬にキングは残りのジェネラルの首も切った。
キングが叫ぶとハイメイジ達が戦闘を無視してキングの側に集まった。
指揮官様が身構えるが、キングは指揮官様を見ず集まったハイメイジ達の首を切っていった。
キングが光に包まれる。
光が収まるとキングの身体が少し縮み、豪華な王冠をつけていた。
キングだったゴブリンは身体の動きを確かめるかのように手をぐーぱー閉じたり開いたりした。
互角だった戦いが指揮官様が防戦一方になる。
このままだと負ける、そう思ってしまった。
指揮官様が負けたら誰もあのゴブリンには勝てない。
俺も母さん達も殺されるっ!と思った。
なんとかしなきゃと思ったら、いつもより魔力を感じ、いつもより上手く魔力制御ができることに気がつく。
圧縮圧縮圧縮したライフル弾プチアースを数十発と同じく圧縮したライフリングした筒を複数作れた。
プチウィンドで浮かべ、再び上空にグリフォンプチウィンドを使用して乗って飛ぶ。
さらに筒の中に圧縮プチファイアと圧縮プチウィンドを準備しライフル弾をセットし隙を窺う。
これは圧縮したプチウィンドが解放されてしまった時に思い付いた使用方法を利用したもの。
あの時から試行錯誤をしてきて、使えるものとなっている。
指揮官様が致命傷を避けながらもキングの激しい攻撃に傷が増えていく。
遂に膝をついてしまう。
キングが止めとばかりに剣を大きく振りかぶる。
ここだっ!とキングの頭と胸、手足に狙いをつけて筒の中の圧縮プチファイアと圧縮プチウィンドを同時に解放した。
バンっと大きな音が鳴り、キングがこっちを見て顔を防御するよう両手剣を真横に構えた。
高速で飛ぶ超圧縮ライフル弾プチアースが両手剣に当たり破壊したが狙いがずれて顔の横を通り過ぎる。
胸に向かったライフル弾プチアースは防御で構えた右腕に当たり貫通し、腕に撃ったプチアースは当たらず地面にめり込み、足に撃った弾は右太ももと左膝を撃ち抜いた。
体勢を崩したキングに指揮官様が叫びながら両手剣を下から掬い上げるように振り左腕を切断、勢いのまま立ち上がり回転、遠心力をのせた両手剣がキングの首を切った。
ゴブリンキングの胴体が倒れ、領兵達が雄叫びをあげる。
指揮官様が「クイーンが残っている!」と残りのゴブリンの追撃と冒険者達へ援軍に向かった。
優勢のところに援軍が来てあっという間にクイーン達が討伐された。
領兵達と冒険者達の雄叫びを聞いて、終わってたんだと地面に降りて安堵して気を抜いたら、力が抜けてその場に倒れて気を失った。
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