FIFTH

YA-かん

1.始まり

 世界は怪物に満ちていた。


 地を這う人々。



 ある時、その中の1人が世界の果てで光を見つけた。


 その者は光を抱きしめこう、願ったという。『終わりが欲しい』。


 すると世界に死という終わりの理が出来た。不変の怪物にも死が訪れる。


 けれども、願った者に終わりはこなかった。



 光を見つけた2人目の女は『力』を求めた。


 女は凄まじい力を手に入れ怪物を打ちのめしたが、いつの日か女自体が怪物の様に変化していた。


 のちに悪魔と呼ばれる者達の始祖である。



 3人目の男は『栄光』を望んだ。

 

 男とその一族は怪物にも悪魔にも負けない力を手に入れ、国を造った。男は王となり、一族は神と崇められた。


 正に栄光に満ち溢れた男と国はある日突然滅んだ。いや、まだ滅んではいないのかもしれない。


 だが、王と一族は皆憎しみ合い争っている。

 

 人々を奴隷の様に使い、なんとか国の体を成しているだけだ。


 そこに、男の望んだ栄光はあるのだろうか。



 4つ目の光を見つけたのは強く大きな怪物だった。


 地を這う怪物は空に憧れ『翼』を望んだ。


 怪物の体に生えた翼はその巨体を大空へと持ち上げ自在に飛び回った。


 そうしていると、他の怪物にも羽を持つものが現われた。空には大きな翼を持つ怪物達。


 それらは竜と呼ばれるようになった。

 

 だが、その中に最初の怪物はいない。


 ある時、怪物を飛ばしていた翼は失われ、また地を這うこととなった。


 怪物は恨みがましい目で空飛ぶ竜を眺める。



 人々には絶望しかなかった。


 死を恐れ、怪物と悪魔と竜に脅かされ、神々に隷属させられる。


 希望を求め逃げ出した集団は5番目の光を見つけた。光に群がった人々の中から叶えられた願いは『繁栄』。


 他の光と違い、小さく暗い光は『繁栄』という願いをどう叶えるのか。願った者はどうなったのか。



 ――これは、繁栄を望んだ者の子孫達により紡がれる、光により狂った世界の物語である――

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FIFTH YA-かん @yakan9696

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