無能だと思われていた俺が最強の刀で国を救う

菊池陽大

第1話 成人の儀1

「いよいよ明日だな」


昼食を食べて訓練をしている最中に同期である関 奏音(せき かなと)が声をかけてくる。

何が明日かというと俺たちの成人の儀だ。

俺は、井澤 翼(いざわ つばさ)。今年成人を迎える学生だ。


「他のことを考えながら俺と訓練するなんて相当舐めてるだろ?」


そう言って木刀で奏音の武器を打ち落とす。


「まいった!やっぱりお前は強い!さすが同期で一番強い男だよ。強い者が出世するこの国じゃ出世頭だな」


そう。俺たちが住む国【紅玉(こうぎょく)】では、強い者が国の頂点に立つことができる。

だからこそ2人で日々修業しているのだ。

両手を挙げて降参を示す奏音に俺は、話しかけた。


「まあ俺も楽しみなんだけどな。どんな武器を手に入れられるかでそいつの将来が決まるも同然だしさ」


この国では、すべての住民が成人である15歳で《血晶式(けっしょうしき)》と呼ばれる儀式を経験する。

この儀式は、荒神石(こうじんせき)と呼ばれる特殊な鉱石をを身体に埋め込む儀式だ。

どんな人間でも何かしらの武器が目の前に現れる。

その刀は、持ち主が成長するにしたがって名前が浮き上がってくる不思議な特性を持っているのだ。

銘(めい)と言われる刀の名前を呼ぶことで身体能力の向上や火や水を操る能力も開放できる。

そのため強い刀が現れればその者の未来の地位が高くなることは確実と言われている。


「明日、儀式が終わってからお互い見せあおうぜ。俺も強そうな刀を手に入れてお前みたいになりたいよ」

「ああ。約束だ」


そういって奏音と別れた。

翌日の成人の儀で俺は、人生で一番の挫折を経験することになる。

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