再生
Rotten flower
出発
深夜二時、三角形が押される。
挨拶、企画説明、エンディング。とても単調で飽きる。どれもこれも全て同じだ。
なぜ人はこんな
かなり小さいバツを押し一呼吸したあとアクセルを踏み、
みなさんは過去に諦めたことがあるだろうか。
言い方を変えると、挫折を経験したことがあるだろうか。
誰しもがあるはずだろう。
バンジージャンプに挑んでみたが怖くなって諦めた。
面白そうな本を買ったが読みきれずに諦めた。なんてこともあるだろう。
僕はそんな挫折を乗り越えて一度走破してみたい。そう考えて果てなきドライブを考えた。これは自分への一種の挑戦だ。
今ならまだ戻れる。そんな気持ちを押し殺しているうちに車は高速に乗った。スピーカーからは次の曲が流れ始めた。
自分でもどこに向かっているかわからない。ただ、どこかに突き進むだけ。「猪突猛進」の二番煎じなのだ。
電話がなった。運転中なので出れないがこんな時間帯、誰だろうか。名前が見たくなる。
視界の隅に移る「氵」。俺の友達にそんな名前はいただろうか。
さんずいの漢字は、海、泳、清。
俺の友達にはその漢字を持つ名前のやつは居ない。そのため、不審に思い電話に出ないことにした。
「どうしてだろう。「どうせ誰にも期待されない。」涙を流すのは。どうしてだろう。いつまでも待つのだろうか。」
「想像」 Aメロディの歌詞にはどこか悲壮で壮大なストーリーが裏にあると感じた。僕の学生時代と全くを持って同じように感じた。
理由もなく泣くことは誰にもある。僕だって、貴方だって。生まれてからあっただろう。
涙には味があるらしい。悔しいときと嬉しいときでは味が変わるのだ。
自分の涙を舐めたことはあるだろうか。なくても口に入ってしまうことはあるのではないだろうか。
僕はその時、悔しい、悲しいという思いだった。塩辛かった。涙が。
都市部から離れてくると雨が降ってきた。この雨は神様の涙なのだろうか。だとしたら、塩辛いのだろうか。それともなにか別の味なのだろうか。舐めてみるまでわからない。
サービスエリアで車を停める。キューは8曲目になっていた。
みなさんは「Fork」という配信アプリをご存知だろうか。声だけの配信アプリであり、物語の読み聞かせや雑談配信を行っている方が多いことで国際的に有名だ。
「男はそれを聞くと、何を思ったかいきなり窓から椅子を投げた。」
「僕と君はどこか似た者同士のようだ。ただただ夕日を見ながら彼はそう呟いた。」
「糸を切ると、男はどこかに逃げ出す。男はどこに行ったのかわからない。」
色々な話を読み聞かせしているが興味のあるものがない。
男は別のアプリに変えると面白そうなものを選び、三角形を押した。
男はホットのカフェラテを飲んだあと、長方形が2つ並んでいるところを押しアクセルを踏んだ。
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