第32話 サプライコンテナ投下ログ【Depth 7】

 サプライコンテナ投下1回目、規定時間よりも3秒はやくコンテナが着底。直後にサプライが破壊される。サプライ投下と同時に離脱中だったため、プリステラに被害なし。ストレージ回収できず。



 サプライコンテナ投下2回目、規定時間にコンテナが着底。ブルースノー、ユニット換装中にプリステラへストレージを渡す。浮上後、ストレージの情報解析チームが分析を開始。内容はロミオとの会話の記録だった。ロミオは人語を話すが思考形態に差異がある。ロミオに見られないようにするためか、高度な暗号化が施されていた。

 海底の観測データは標準的な暗号形式が使われていた。有害なコードが含まれていないか確認後、海洋大学の総合資源チームに共有。



 サプライコンテナ投下3回目、規定時間より3秒遅れて着底。コンテナが破壊される。プリステラに被害なし。ストレージ回収できず。前日の嵐で潮流が変化したことが遅れの原因と考えられる。



 サプライコンテナ投下4回目、規定より10秒はやく着底。コンテナが破壊される。プリステラ、コンテナの破片を浴びるが損傷なし。これまでの結果を踏まえると、ウィンドウは3秒だ。

 オブザーバーから護衛をつけるべきだと進言があったが保留。こちらが警戒すれば向こうはさらに警戒する可能性が高いため。



 サプライコンテナ投下5回目、規定より2秒はやく着底。サプライはブルースノーが回収。ストレージの受け渡しに成功。付近にロミオの姿は確認できず。

 ロミオの有効射程と着弾時間を考えると、100m以内にはいる可能性が高い。しかし、照明を周囲に向ければ警戒させる可能性が高い。情報が欲しい点も警戒させるべきではない点も各チームとも合意がとれた。



 海洋大学の総合資源チームから、この星の海は急激に資源量(この場合は海洋生物)が増えていると報告あり。この内容はしかるべき省庁に共有済みとのこと。



 サプライコンテナ投下10回目、規定の時間ちょうどに着底。サプライはブルースノーが回収。付近にロミオの姿あり。回収とストレージの受け渡しには一切干渉せず。作業を終えたブルースノーが近づくと、抱きかかえるようにして海域を離脱。

 行動に大きな変化があっため、全体で議論を行う。結論は警戒や敵意は感じられず、問題になる行動ではない。



 サプライコンテナ投下15回目、規定の時間ちょうどに着底。サプライはブルースノーが回収。空になったサプライコンテナをロミオが広い、海底に沈める。プリステラ、外部スピーカーで「ありがとう」と発言。ロミオは動きを1秒ほど動きを止める。回収を終えたブルースノーを抱えて、海域を急速離脱。



 サプライコンテナ投下16回目、規定の時間ちょうどに着底。サプライはブルースノーが回収、ストレージの受け渡しも問題なく完了。

 15回目の急速離脱は照れ隠しだと思う、とブルースノーのコメント。そういうものなのか?



 サプライコンテナ投下20回目、規定の時間ちょうどに着底。サプライはブルースノーが回収。15回目からロミオがサプライコンテナの近くで作業を見守っている。手伝う場面も見られた。

 プリステラ、離脱中にロミオがを振っているのを確認。



 サプライコンテナ投下25回目、規定の時間ちょうどに着底。ブルースノーのサプライ回収、ストレージの受け渡しまで問題なく完了。

 ロミオ、プリステラに無線通信。


『いつもありがとう』

『どういたしまして』


 チーム全体でディスカッション。ロミオが積極的に他者とのコミュニケーションを取り始めたのは大きな成果である点で合意できた。依然として予断は許さないが、フェイズ2に移行する。

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