■【右腕を代償に「黒ヘビの腕」を手に入れた少年の復讐劇】 ~ 死後、4000年の殺し合いを経て地獄最強の咎人となった少年が、地獄を抜け出し欲望渦巻く「闇の世界」で成り上がる!! ~
1話:命を賭した復讐劇は、地獄にて再び産声を上げる
■【右腕を代償に「黒ヘビの腕」を手に入れた少年の復讐劇】 ~ 死後、4000年の殺し合いを経て地獄最強の咎人となった少年が、地獄を抜け出し欲望渦巻く「闇の世界」で成り上がる!! ~
ぞいや@4作品(■🦊🍓🌏挿絵あり)執筆中
【序章:脱獄編(全5話) ~少年は右腕を失い、新しい「黒ヘビの右腕」を手に入れ、地獄の底から脱出する~】
1話:命を賭した復讐劇は、地獄にて再び産声を上げる
ふと目覚めると、
「ここは……?」
ボクが目を覚ましたのは、赤黒い岩壁に囲まれた大穴の底。
周囲にはボロ布を
「死ねぇ!!」
「テメェこそな!!」
「うぎゃぁぁぁぁああああ!!」
――殺し合いだ。
大穴の底で繰り広げられているのは、男達による殺し合い。
至る所にある地面の亀裂から黒煙が立ち昇る中、薄汚い男達が
訳も分からずその光景を
「おい坊主、大丈夫か?」
「え? あ、大丈夫だけど……ここは?」
後ろから声を掛けてきた一人の男。
彼も他の者と同じくボロ布の姿で、刃渡り1メートル程の刀を所持している。
「お前さん、記憶が無いのか? 見ての通り、ここは地獄の大穴さ。八大地獄が一つ、
「等活地獄……何で皆は殺し合いしてるの?」
「何故かって? そりゃお前さん……楽しいからに決まってんだろ!!」
(――え?)
唐突に首を
「ギャハハッ」と笑う男に見下されながら、ボクは呆気なく死んだ。
――――――――
――――
――
―
~ 翌日 ~
目を覚ますと、見覚えのある赤黒い岩壁と、同じく赤黒いどんよりとした空がボクの視界を出迎えた。
周囲には何百もの薄汚い男達がいて、すぐ近くには、のっしのっしと歩く「角を生やした赤肌の大男」が確認出来る。
(何だアレ……赤鬼? っていうか、また地獄だ。ボクは生き返ったのか? でも、一体どうして……)
背後で鳴った足音に気づいた時は、既に手遅れ。
「背中がガラ空きだぜ!!」
背後から「槍」で心臓を一突き。
またしてもボクは、地獄の底で物言わぬ肉塊となった。
――――――――
――――
――
―
~ 1ヶ月後 ~
30回も死んで生き返れば、嫌でもこの地獄を理解する。
この
死んでもそれで終わりではなく、地獄の鬼族である「赤鬼の
仮に、大穴の壁を登って逃げ出そうにも――
大穴の外に出た時点で、咎人の首輪に仕掛けられた“爆弾”が爆発。
決死の想いで壁を登った新入りの咎人は、物言わぬバラバラの肉塊となって大穴に降り注いだ。
(……無理だ。首輪を外さない限り、ここから逃げ出すことは出来ない)
その首輪を解除する為の“鍵”は、「赤鬼の獄卒」が首からジャラジャラとぶら下げている。
筋骨隆々な彼を倒し、鍵を奪わなければ逃げ出したところで意味も無いが……。
「赤鬼ィッ、その鍵を寄越しやがぶッ!?」
今日もまた、赤鬼の獄卒に挑んだ咎人が、大きな金棒で返り討ちに遭った。
あの赤鬼の獄卒は地獄を統治する「管理者」の一人であり、圧倒的な実力者。
等活地獄の咎人全員で奴に襲い掛かっても、決して勝つことは出来ない。
(あぁ、どうしてボクがこんな目に……コレも全て“あの男”のせいだ)
地獄の底で死んだふりをしながら、こうなった元凶を深く深く恨む。
あの男――生前、ボクに暴力を振るい続けた男「ジャック・A・バルバドス」。
6歳から18歳まで、12年もの間ボクを執拗に虐め続け、最後には命まで奪った非道極まりない極悪人。
ジャックは悪の化身だ。
3メートルの巨躯と「名家:バルバトス家」の威光、それに“人知を超えた力”を使って、教師でも手に負えない悪童として学園で好き勝手放題に生きていた。
その一番の被害者が地獄に落ちるのはおかしい。
ボクではなく、ジャックこそが地獄に相応しいのだと、そう思ったところで現実は何も変わらない。
『おいチビ助、これがお前の武器ど』
1ヶ月前、等活地獄に入る際。
赤鬼の獄卒から渡された「小さなナイフ」がボクの武器。
他の咎人達が「斧」や「槍」や「刀」を手にする中、ボクに渡されたのは
小柄なボクの体格とリーチの短いナイフで、咎人達との殺し合いに生き残れる未来は見えなかった。
■
投獄から1年。
痛い日々が続いていた。
投獄から10年。
辛い日々が続いていた。
投獄から100年。
屍の日々が続いていた。
――100年。
普通の人間にとってはとてつもなく長い時間だが、地獄の大穴での100年は「現世での1日」に相当する。
つまり、ボクが地獄に入ってから、現世では1日しか経っていない計算だというのに、それでもボクの心は100年分の時を過ごし、完全に
今更“戦う気力”も湧いて来ず、随分と前から「死んだふり」でなるべく大人しくしてる事が多くなった。
「………………(もう溜息も出ない)」
生ける屍。
文字通りの死んだ様な日々。
コレがボクの――『ドラノア・A・メリーフィールド』の最期だ。
そしてその最期が、明日も明後日も明々後日も、その後もずっとずっと続くのだ。
この日々に嫌気がさし、魂が擦り減った咎人達は自然消滅してしまうらしい。
ボクがその道を辿るのも、そう遠くない未来なのかも知れない。
(はぁ、もう楽になりたい。ここから出れないなら、いっその事――ん?)
ふと、何かの気配を感じた。
足音もしないので、ボクを殺しに来た咎人ではないだろう。
それで何気なく瞼を開けると、「ヘンテコな生き物」が目の前に居た。
体長10センチほどの真っ黒な物体で、見た目的には「黒いゼリー」とでも言うべきその生き物が、プルプルと震えながらカタツムリみたいにゆっくりと動いている。
(何だコレ? 段々近づいて来るけど……)
正体不明な黒いゼリー。
それが、ボクの口にスルリと入り込む!!
「ちょっ!?」
流石に慌てた。
すぐさま黒いゼリーを吐き出そうとするも、声を上げたのが失敗。
「おいおい、死んだふりなんてつまらねぇなぁ!! 大人しく死んどけや!!」
近くの咎人に首を
それから一瞬にも永遠に思える時間を経て、赤鬼の獄卒に復活させられるのがいつもの通りの流れ。
苦しんで息絶え、死んだように目覚めるのがお決まりのパターン。
しかし、今回は違う。
気づいた時、ボクの前には“山よりも大きな『黒ヘビ』”が
「……は?」
状況の理解が追いつかないボクに、その巨大な黒ヘビが告げる。
『人間よ、欲しいモノは何だ?』
――――――――
*あとがき
血生臭い始まりとなりましたが、復讐を終えた時にはスカッとした気分となる内容を目指しています。引き続きよろしくお願いします。
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