第2話
朝、僕はスマートフォンのアラームでいつもの時間に起こされる
「もうちょっと…。」
冷たい空気を頬で感じ、布団の中に深く潜るがその想いもアラームによって打ち壊され低く唸りながら起き上がる
肌に刺さる冷気に眠気が覚めることはなく、おぼつかない足取りでキッチンへ向かう
朝食は簡単なもの。トーストだったり、白米にふりかけだったり、お茶漬けだったり。
綺麗な朝食を作ってSNSに投稿するよな気力も時間も僕にはこれっぽちも無い。今日もネットを漁ってはなんの感情もないままハートマークをタップするだけ。これが普通。
食事を済ませたら時間は残りわずか。急いで支度を済ませて大学へと向かう
登校は一人。友人がいないわけではないが、住んでる場所が異なるため行きも帰りも一人で通う
講義室へ到着し、すでに席に着いている友人のもとへ向かい隣に座った
「おはよう。」
「おはよ。」
挨拶を交わしてマフラーと上着を脱ぐ
「そういえば、昨日のテレビで______」
友人は誰から見ても元気でうるさい印象を与えるような人だ。太陽のように眩しい人。
僕はそんな友人の話を聞き流しながらスマホのゲームを開く
「それ毎日やってるよなー。面白い?」
「そこそこ。」
「俺もやってみようかなー。」
「多分すぐ飽きるよ。」
「やっぱり?なんとなく思ったわ。」
そんな事を言いながらインストールする友人
さっきの会話はなんだったんだ。なんて思うが口には出さずに自分の手元に視線を戻す
「今日の授業、小テスとあるらしいぜ。」
「え、早く言ってよ。完全に忘れてた…。」
オート機能を活用しゲームを放置して講義プリントを開く
隣の友人は呑気に新しいゲームを楽しんでいるようだ
さすが天才様だな。と言ってやれば諦めてるだけー。と返ってきた
…こんな人に負ける俺は凡人以下なのだろう。
悲観的になりかけた心を無かったことにして、復習に集中する
僕と友人は正反対のような人間だ
なのにどうして一年近くも二人でいるのか分からない
僕は都合の良い人間として思われているのでは。そう考えた事もあったが友人がそういう素振りを見せたことは一度もない
信頼していないわけではない。しかし、完全に信頼しているか?そう聞かれるとうまく返せない
高校までろくに友達もできずに一人だった僕が、太陽のような人と一緒にいていいのだろうか。雪になりたいと思ってる自分はきっと不釣り合いだ。
講義の終わりを知らせるチャイムが鳴る
「なぁなぁ、さっきの小テストのここ分かった?俺、分からなかったんだよなー。」
「僕も分からなかった。」
「なら、一緒の答え探そうぜ!」
そう言って笑う友人はやっぱり太陽みたいだ
いつか溶かされてしまいそうだ。
結局、小テストの点数が僕が負けた
雪少年 @TeNgusA00
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。雪少年の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます