義務感は何物にも崩れることはない
泉葵
人工物の笑み
トンネルを抜け出す。窓から差し込む陽が眩しくて車窓を半分だけ消そうとした。
「まって写真取るから」
ケントがスマホを突き出し、窓に張り付かせた。
新幹線は耳を圧迫するモーター音が嫌いでどうも好きになれなかった。イヤホンをつけ、スマホの音量ボタンを2回押した。
「誰かに送んの?」
「Twitterにあげて、あとミオにも送る」
スマホの音量ボタンをもう一回押した。音漏れしているかもしれないがどうでも良かった。
ケントは写真を取り終えて携帯をいじり始めた。ミオに写真を送ってるのだろう。
「最近彼女とはどうなん」
「まぁぼちぼちやね」
照れを隠すように笑ったケントを見て、ナオキも口角を上げた。イヤホンから流れる音楽が鼓膜を刺激し、耳を痛めた。
半分だけ空いたカーテンの方に体を向け、スマホを取り出す。「みお」というユーザーから1件のメッセージが届いてるのを確認して、スマホを下に伏せて太ももに置いた。
「大切にしろよ」
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