青い鳥

 高校3年生の美香は、教室の窓から見える青い空を眺めていた。


 いつものように、彼女は何も考えずにただただ景色を見ていた。

 しかし、その日は何かが違った。彼女は、心の中で、何かを探していた。


「美香ちゃん、あのね、明日、遊園地に行こうよ。」


 友達の声に、美香はあっという間に現実に戻ってきた。

 遊園地か、楽しそうだな、と思った。

 でも、心の中では、それだけではなく、別の何かを探していた。


 翌日、美香は友達と一緒に遊園地にやってきた。彼女たちは、乗り物に乗ったり、お化け屋敷に入ったり、何でもありの一日を過ごしていた。

 美香も楽しい時間を過ごしていたが、何かが足りないような気がしていた。


 そして、その時、美香は青い鳥を見つけた。

 それは、遊園地の中に、一羽だけ飛んでいる青い鳥だった。

 美香は、その鳥を追いかけて、遊園地の外へと出た。


 彼女は、鳥を追いかけながら、山道を登っていった。

 そして、やがて、鳥が止まった場所に着いた。

 そこは、美しい景色が広がる丘の上だった。美香は、鳥と一緒に、青い空と緑の大地を見上げた。


「こんなに美しい景色、初めて見たわ。」


 美香は、青い鳥に語りかけるように言った。すると、鳥が一瞬、美香を見つめたかのように思えた。


「青い鳥、ありがとう。君に出会えて、私、幸せだった。」


 美香は、鳥に向かってそう言い、笑った。 

 すると、鳥は再び飛び立ち、美香の上空を舞った。


 美香は、青い鳥を見送りながら、ふと思った。


「私が探していたもの、それは、幸せだったんだ。」


 そんな風に、美香は自分自身に気づかされた。

 彼女は、心の中にあった青い鳥を追いかけ、そして、自分自身が探していたものが、自分の中にあったことに気づいた。


 その夜、美香は自分の部屋で、一人、静かに過ごしていた。彼女は、自分の心の中にあるものを探し、整理するために、日記を書き始めた。


「今日、青い鳥を追いかけて、美しい景色を見た。その時、私は、自分が探していたものが、幸せだと気づいた。」


 そう書き留めた美香は、自分の中にあったものを整理することができた。

 そして、彼女は、心がスッキリとした気持ちで、眠りについた。


 次の日から、美香の生活には、少しずつ変化が現れた。

 彼女は、普段よりも明るく、楽しそうに過ごすようになった。

 友達との会話も、以前よりも深くなり、人とのつながりを大切にするようになった。


 そして、ある日、美香は、同じクラスの男子生徒、太一に声をかけられた。

 彼は、美香に告白をしてきたのだ。


 美香は、太一から告白された時、とても緊張した。

 でも、自分が探していたものが、幸せだと気づいた後、美香は、自分の気持ちに正直に向き合うようになっていた。


「私も、太一くんが好きです。」


美香は、太一に告げると、二人は笑顔で手を取り合った。


 美香と太一は、その後、学校の帰り道や休み時間に、一緒に過ごすようになった。

 二人は、公園で一緒にランチをしたり、美術館に行ったり、一緒に時間を過ごすことが増えた。


 美香は、太一と一緒にいることが、本当に幸せだと感じた。

 そして、自分が探していたものが、太一という人とのつながりだったことを、改めて実感した。


 彼女は、青い鳥に出会ったあの日のことを、今でも思い出すことがある。

 青い鳥が、自分の中にあったものを教えてくれたように、太一という人との出会いも、自分にとってとても大切なものだと感じていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る