恋のるつぼ
文戸玲
ねがいのかたち
「ねぇ、あの子って誰かな?」
中学2年生の沙耶香は、友達と一緒に、学校の校庭で遊んでいた。
そこに、1年生の男の子が現れた。白いシャツに紺色のセーター、制服のスラックスをはいた彼は、少し影になっていたが、何か独特の雰囲気があった。
友達たちは、まだ中学生だからか、変な騒ぎを起こしたが、沙耶香は黙ってその男の子を見つめていた。
そして、その瞬間、何かが彼女の中で動き出した。
彼女は、何とも言えない想いを持っていた。
どうしてか、彼女はあの男の子にひかれていたのだ。
数日後、沙耶香は、彼の名前が「大樹」だと知った。
彼は、クラスの中でも目立たない存在だった。
しかし、沙耶香にとっては、彼は特別な存在だった。
ある日の放課後、沙耶香は、大樹に声をかけられた。
彼は、校庭でサッカーをしていた彼女たちに、ボールを返していたのだ。
沙耶香は、彼が自分たちを見つけてくれたことに、なんだか胸がいっぱいになった。
「あの、沙耶香さん、いいですか?」
大樹の声に、彼女はびっくりしたが、嬉しくもあった。
「は、はい。どうかしましたか?」
「えっと、これ、受け取ってください。」
大樹は、小さな封筒を差し出した。
「これは何ですか?」
「ねがいをかたちにしたものです。開けてください。」
封筒を開けると、そこには、小さな折り紙が入っていた。それは、シンプルなハートの形だった。
「これは、どういう意味ですか?」
沙耶香は、戸惑いながらも、大樹に尋ねた。
「僕の、沙耶香さんに対する気持ちです。」
大樹は、恥ずかしそうに微笑んだ。
沙耶香は、その瞬間、自分の気持ちに気づいた。自分も、大樹に惹かれていたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます