バレンタイン
シカオン
プレイボール
世間一般で「スッゾコラー!!」は愛が、笑顔が溢れる「デッドボール露骨に狙ってんじゃねえ!」日であると言われる2月14日
俺は野球をしていた
バレンタイン
海外では男性が女性にプレゼントを贈る日であり、日本では女性が男性にチョコレートを贈る日である。
世界中でプレゼント、チョコが贈られカップルが誕生し、夫婦は愛を深め合う。愛が贈られ、笑顔が溢れるそんな日である。
だが現実は冷たく醜い
カップルが誕生すればそれと同時に誰かの恋は終わり、告白をするが実らない場合もある、そもそも始まりもしない奴だって居る。
あぁ、なんとも非常なことか...
事の発端は体育教師が急な出張により他の教師に授業を引き継げなかったことである。
それにより監視者の居ない体育の授業...いや自習の時間が誕生した。
そしてこの日はバレンタイン当日2月14日
クラスのチョコを貰えた組、貰えなかった組要はモテる奴らとモテない奴らの関係は驚くほど悪化していた
だからどこかで爆発するのは必然だったと思う。
体育の時間、モテない組の1人がバットを持ちながらボソッと呟いた
「これであいつらの頭をかち割りたい」
その呟きに続々と賛同するモテない組
「そうだ!奴らに血の鉄槌を!!」「コロス...」「ゲキャキャキャキャ!」
それを区切りに各々が武器を手に持ち素振り、点検を始めだす。
モテない組の雰囲気が確実に良くない方向へと流れようとしている時
それを制す1人の声が響いた
「おい、お前ら!手を出すのはダメだ!!」
その声の主にみんなの注目が集まる
自分もバットに有刺鉄線を巻く手を止め声の方を向く
そこに居たのはクラスの委員長的ポジションに居る男子であった
「なんで俺らを止めるんだ!」
「お前も貰えてなかったはずだろ!」
「まさか俺らを裏切るのか!!」
その言葉に対して非難の声が次々出る
全くその通りである。奴らは殴られても仕方ないことを犯しているのになぜ罰を与えてはいけないのか...まさかあいつもチョコを!?
モテない組からの文句に対して委員長は怯まず反論する
「それでも暴力は振るってはダメだ!
どうしても鬱憤を晴らしたいなら試合など健全なことでするべきだ!」
「そしたらあいつらをボコボコにできねえだろうが!」
「でもっ!!」
演説途中に上がった野次を遮って彼は言葉を紡ぐ
「試合中になんらかの不慮の事故でする怪我は仕方ないと思わないか?」
途端みんなの野次がピタリと止む
そしてさっきまでとは打って変わって統率の取れた動きで各々が動き出した
「お前らグローブは着けたか!!今から野球すっぞ!!」
「「「おう!!」」」
お、終わってる...
こいつらがクラスメイトであることを恥じるレベルだ
だが、それはそれこれはこれである
自分もモテる奴らには恨みがあるのでその列に加わる
「おい、せっかくだし野球しようぜ」
モテない組の1人がモテる組のリーダー格に声をかける
「話は聞こえてたぜ。俺らもお前らにはうんざりしてた頃なんだ」
「あんだとコラ!!」
「すっぞコラ!!」
こうしてモテない組vsモテる組の野球勝負が始まった
バレンタイン シカオン @sikaon1
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