第16話 七瀬というダンチューバーについて 3

 



 スレッド:七瀬というダンチューバーについて 3


 1 スレ主

 ついにこのスレも三つ目か……。


 2

 七瀬だからな


 3

 しょうがない


 4

 七瀬のこと最近のことを誰か振り返ってくれ


 5

 頭も良くて強いとか反則では?


 6

 何言ってんだよ、お前ら、七瀬ってただのイキリ野郎だろ?


 7

 >4


 本名:七瀬蓮


 1週間前の配信で隠しギミック部屋に閉じ込められてしまい、そこでロックゴーレムを倒したことで底辺から少しずつ、知名度を伸ばしていった。

 そして、七瀬の名前が全国に知れ渡るようになったのは奥多摩ダンジョンでスタンピードが起こった時。

 七瀬は素質を組み合わせて使うことでモンスターを大勢倒すことに成功したが、謎のイレギュラーに巻き込まれ、撤退を余儀なくされた。

 さらに、逃げている途中にはドラゴンに遭遇し、死にかけるが、下層探索者のリノ氏に危機一髪のところで助けてもらい、氷漬けにされたドラゴンを一撃でぶっ倒した。


 その1日後に、七瀬はリノ氏にかかっていたテロ容疑を晴らすために本当の容疑者を炙り出し、上手いこと配信内で全てを自白させた。


 8

 >7 ナイス


 9

 こう考えると七瀬がやったことって多すぎないか?


 10

 >7 嘘乙


 11

 >10 嫉妬でもしてるんかww? 七瀬に


 12

 >10 お前が七瀬と張り合ったところで勝てるわけがないだろ? 


 13

 >10 やめとけ


 14 スレ主

 普通にアク禁したわ


 15

 了解


 16

 にしても、リノに双子の妹がいるってわかった瞬間は鳥肌立ったわ


 17

 >16 それな、警察の調べによるとそいつ、こっそりリノの探索者証を使ってダンジョンに出入りしてたらしいぜ?


 18

 キモすぎワロタ


 19

 というか七瀬に言われるまで気づかなかった日本の警察ゴミすぎんか? それに結局、テロ行為を起こした組織に関して情報は出てきてないんだろ?


 20

 組織が関わってるだろうなぁ……


 21

 日本、死にかけで草


 22

 警察は事後処理しかできんからな


 23

 マジでこんなことがこれからも続くんかな?


 24

 >23 幸い、日本はダンジョン関連の技術的には世界の中で最先端だし、若くて優秀な探索者も多いから


 25

 >24 と言っても欧米の方が深層、下層探索者の数は多いだろ?


 26

 >25 七瀬が居るぜ


 27

 七瀬は異常状態とかには弱いからな……


 28

 やっぱり、ななせんをしっかりサポートできるような人はそう多くないし


 29

 あの爆速でダンジョンを駆け回る人間弾丸を誰がサポートできるんだよ……


 30

 なるほどな、じゃあ、ななせんをサポートするにはその速さについて来られるような人じゃないとダメか……。



 ――――――



「あっ、どうも、ダンチューバーの七瀬です」


 今日は珍しく、ダンジョン内ではなく、家で配信をしていた。

 その理由は――


「なんとですね、ついに昨日、チャンネル登録者数が50万人突破したわけですよ!!」


“うおおおおおお”

“ななせんならもっといける”

“足りねえな”

Lino:“おめでと”

“スパチャ投げてぇえええ”

“リノ氏や”


 大量のコメントがそのことを祝ってくれる。


 そう、ここ数日間で俺のチャンネル登録者数は鰻登りしていき、先日、50万人を突破したのだ。


「ありがとうございます、あっ、スパチャに関してなんですけど、収益化にあともうちょっと時間がかかると思うので気長に待っていただけると嬉しいです」


“運営はよ”

“はよはよ”

“七瀬に金を……”


「あはは、みなさん本当にありがとうございます、でももし収益化してもスパチャはちょっとで大丈夫ですので……」


“この一言を聞いて俺は七瀬に赤スパを投げることを決意した”

“絶対に上限まで投げてやる”

“七虐おもろそー”

“金の嵐を見せてやるぜ”

“赤スパ祭りだ”


「ふ、フリとかじゃないですからね?! 本当に少しだけで大丈夫なので!」


 俺がいくらそう言ってもコメント欄は盛り上がりが増すばかりであった。

 そして、次第に話はダンジョン探索の話に変わっていく。


「そういえばなんですけど、明日、後衛探しのためにダンジョン協会の掲示板に行ってみようかと思うですよね」


“おお、前言ってたやつか”

“後衛なら魔法系の素質か、支援系の素質持ちだな”

“私、支援系の素質持ってるんですけどどうですか?”

“ちょっと今から掲示板に仲間探しの張り紙出してくるわ”


「やっぱり、魔法系の素質とか、支援系の素質とかを持ってる人がいいんですかね? でも、俺、戦闘スタイルが特殊だからなあ……」


“それが一番難しい点”

“普通はななせんの速さに追いつけないか……”

“日本にいる名のある後衛の人を見ても難しそう”


「まあ、もしかしたらいい感じの人が見つからないかもですけど、一応、明日、掲示板に行ってみることにしますね」


 そうして、俺の明日の予定が決定した。

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