JK四人がそのまま社会人になったらとんでもないコントな生活になってもうた♪
ぴこたんすたー
第1章 電波を突っ切れ、ゴーゴーな電車のお仕事
第1話 回転木馬アナウンス
ガタンゴトン。
カバンゴトン。
カカオ5トン。
一つの電車が愉快な音を立てて進む。
ある人はそれを『奇怪な妖怪の仕業』とおののきながらスマホで撮影し、ある者はそれは『それは君の妄想癖じゃないか?』と機械な音をスマホに録音する。
そんな電車の中でスマホ一台がないと活きていけないある朝のこと──。
『──次は次は秋葉原駅』
早朝の電車の車内に可愛らしいミクル駅員のアナウンスが車内に響く。
声だけなら天使のようで可愛らしい。
声だけなら……。
「……推し‼」
秋葉原という地名で血わき肉踊らすジーラは人気アニメの缶バッジを付けた痛バッグをぎゅっと握り、気合いを入れた。
『そして終点は秋葉原駅周辺、秋葉原周辺』
ところが列車は秋葉原に止まらずに周辺をグルグルと回る。
それはワープに失敗した銀河鉄道詐欺ナインのようだった。
「同じ場所を回ってどうすんや‼」
ジーラの隣にいたケセラが乗車席から立ち上がり、早速、このシリーズ初のツッコミをする。
彼女のツッコミは今日も切れ味がよく、いい感じなカレーなツッコミが出来そうだ。
わざとらしいツッコミのため、食す具材は大きめがいいだろう。
「えっ、メリーゴーランドの流れじゃないのですの?」
そして、リンカの場の外れた発言でその場にいた乗客が凍りつく。
季節は春にも関わらずだ。
今日は雪が降るかも知れない。
「「……お嬢め」」
ケセラとジーラは呆れ返り、『じゃあ、回転木馬が好みなら、馬車が交通手段の異世界にでも逝ってみるか?』と暴言を吐きそうになったが、吐いてどうにかなる相手でもないので最小限の言葉でぐぐっと堪えていた。
決してグッドなサインではない──。
「──すみません、半分寝てました」
ミクル駅員が車内に出てきて、愛らしい豚のぬいぐるみと共に『てへぺろ♪』と謝罪してくる。
ぬいぐるみの中身は綿だが、豚肉はビタミンが豊富な食材である。
退くらしのシリーズのような綿流しとか怖い設定ではない。
そう、ミクルは声だけではなく、容姿も可愛らしかった。
だが、この無責任な様子だと彼女は今日は一日車掌だったのかも知れない。
「寝ながらアナウンスするなや‼」
今日もミクルの鋭利あるツッコミでこの世は明ける。
とっくに世紀末は過ぎ去った日本の車窓から……。
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