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 佐々木将吾は夢の中にいる。

 ふわりと宙へと向かう浮遊感。地を背にし、空へと向かっていく。徐々に加速していく様は、まるで空に向かって墜落しているよう。

 刻一刻と迫る青を、将吾は無感動に眺めている。夢なのだから当然だ。意識は霞がかったように朧気で現実感がない。

 落ちる落ちる落ちるように浮遊する。重力に逆らっている影響で、内臓が鈍い不快感を訴えている。それなりの時間が経過しているはずだが、果てはまだ来ない。空へ空へ空へ。あの青空が橙に代わり、夜の黒へと色彩が変化しつつあるも、終わりは来ない。

 一体いつまで自分はこのままなのだろうか。鈍い頭がようやっとそのことに疑問をもった時だった。星すら見えない夜の闇の中、小さな、けれども燦然と輝く光を見つけたのは。

 あてもなく落ち続けていた彼の身体は、その光に吸い込まれるように加速する。はじめはほんの小指の先ほどの粒だった光が、近づくにつれて徐々に大きさを増していく。

 ああ、自分はこの光に向かって落下しているのだ。迫る光に対し、彼の意識はそう結論づける。不思議と恐怖は感じなかった。ただそうであるのが当然という奇妙な感覚のみだった。

 迫る光はまるで円盤のよう。巨大で、薄く、金属のような光沢。自らも光を発しながらも、その光を吸収するように反射するという矛盾した存在。

 光の円盤に飲み込まれる瞬間、佐々木将吾は確かにその言葉を聞いた。



「星を探して」


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