第7話 モンパレ


「お前楽してんじゃねーよ!」

“コツッ”

「いたっ!楽してなんかない!ほんとに痺れてただけ」

「フンッ!回復魔法で痺れるなんてないですねぇー」

「あ、ありますよ!しょうがないじゃないですか!」

 歩きながら口喧嘩をする。

 中門について冒険者証を見せて中に入る。

「じゃな!俺行くとこあっから!」

「私もついて行きますよ!」

「馬の様子を見に行くだけだぞ?」

「じゃあ私は刀のメンテをしてますね」

「おう。分かった」

「はい!ではまたあとで」

 馬は元気かなぁ?

「おう!厩番かい?これで飯でも食べな」

 銀貨を5枚渡してやると凄い笑顔だった。

「俺の馬を見に来たけどあ、あいつだ!おー元気か?」

「ちゃんと見てますから、たまに走らせたりもしてます」

「おうそうか!ありがとな」

「いえ!あのありがとうございます」

「ん?なんで?」

「僕なんかを褒めてくれたので」

「お前がいないと馬が死んじまうだろ?」

「はい」

「だから礼はいいよ」

「はい!」

 馬と戯れてからクリーンをかけておいてやる、厩番の子も相当汚かったからな。

「あ、ありがとうございます」

 手をひらひらして宿屋に帰る。

 さてと。たまにはネットスーパーで俺から貢ぐか。すき焼きセットでもいいなぁ。よしこれに決めた!あとは量だけど二十人前あれば足りるだろ。

 神様の像を取り出して目の前に段ボールをドンと置くとすぐに消えて無くなる。

『きゃー!スキヤキだぁ!』

『ワシのじゃて!』

『私の分もありますね!ありがとうございます』

「おう!食べてくれ」

『はい!いただきます』

 今違う神様の声が聞こえたけどやっぱ多いんだなぁ。

 ちょくちょく送ってやるか。


 下に行くともう食べているリアに会う。

「遅くないですか?」

「別に遅くないだろ?」

 久しぶりにビールが飲みたくなったのでビールを取り出して飲みながら食べる。

「美味いなぁ」

「それ私にもくださいよ」

「リアは幾つだっけ?」

「は、二十歳です!どーせ行き遅れですよーだ」

「なんだ二十歳かよ同い年じゃねーか」

「へ、そうなんですか?」

「まぁ飲めばいいよ」

 一本をプルタブを開けてやってから渡す。

「ゴクゴククッハー」

「おっさんかよ!」

「美味しいですね!冷えてて」

「だろ?冷えてるから美味いんだよ」

「ッハー!おかわりあります?」

「あるぞ?でも無理して飲むなよ」

「大丈夫ですよ」

 知らねーぞ?酔っ払っても。


「おいしいですねー!」

「これ以上はダメだからな」

「いい気分なんで大丈夫です」

「おう、美味い酒に美味い飯は最高だな」

「目の前の美人を差し置いてなんですか!」

「はいはい、リアは美人だよ」

「はいダウトー」

 うっぜぇ!飲ませるんじゃなかった。

「本当なら結婚してくださいよ」

「あったばっかだろうが!」

「嫁にしろ!」

「はぁ、とりあえず部屋戻るぞ」

「きゃー!」

 俺の真向かいがこいつの部屋だ。

「ほれ、ついたぞ!」

「はいはーい!じゃあ、おやすみのキス」

「はいはいちゅ」

「きゃー!」

“バタン”

「明日覚えてたらウケるな」

 笑いながら自分の部屋に戻る。


「おはよう」

「お、おはようございます」

「昨日はごちそうさまです」

「な、何言ってんですか!責任とってもらいますからね!」

「あははは、リアが良ければね」

 顔が赤くなるリアはモジモジしている。

 朝定が来るまで他愛のない話をしている。がこんな時に限ってやってくる。

「モンスターパレードだぁ!!」

「モンパレですよ!いきましょう!」

「あ、あぁ」

 やっときゃよかった避難訓練。

「私達は中門外に出ます!」

「了解!」

 中門外には沢山の冒険者達が出て来ている。

 外門外は兵士が戦っていてそれのこぼれたのをこちらが倒して行くようだ。中門が閉じられる。

「んじゃ言っちゃ派手に行きますか」

「えっ?」

 外門の外まで出て行き風魔法を創造すると。

「テンペスト」

 竜巻きが発生してモンスターをどんどん倒して行く。

「エータ殿。増援感謝する」

「いいえ、んじゃこのまま押し切りましょう!」

「テンペスト」

 でかいモンスターは効かないので剣で倒して行く。

「エータ殿戻ってください」

門の上に飛び移りどうしたか聞いてみる。

「今からが本番です。多分今回もオーガが出てくるでしょう」

「強いんですか?」

「そりゃもう!あの体格であの力ですからね」

「そりゃ腕がなる」

 俺は戦闘狂だったっけ?

「んじゃ行ってきますね!」

「エータさん!」

 俺走ってそのオーガを見つけた。

 鬼だな。

「さて。力比べといこうか?」

 俺が剣を握り斬り上げると相手も上から棍棒を振り下ろす。

“ガイン”

 と音がして俺の剣と相手の棍棒が壊れた。

「んじゃ、刀で行くわ」

 アイテムボックスから刀を取り出して斬りかかる。

 相手は腕をクロスさせてガードするが意味がなく腕をぶった斬られる。

「ウゴオォォォォォ」

「さて。楽にしてやるよ」

 俺は走って鬼の膝に飛び乗りジャンプすると一閃。

 オーガの首を取った。

 解体してアイテムボックスに入れる。

 そのほかは兵士が倒しているみたいだ。

「エータ殿!お手柄ですね」

「まぁな!楽勝でしたよ!」

 モンパレはそれで終了して、俺にはオーガの素材をそのままくれた。

「いいんですか?」

「倒したのはエータ殿だからな」

「それじゃ遠慮なく」

 中門に戻ると、リアが心配しすぎていた。

「エータ!怪我はしてないか?どこか痛いところは?」

「ん?楽勝だったからそんなもんないぞ」

「はぁー。よかった」

「あはは、心配かけたな」

 門が開かれ領主が出て来た。

「皆のおかげで今回もモンスターパレードに打ち勝つことができた。すこしだが役に立ててくれ」

 一人金貨一枚はやりすぎじゃないか?

 まぁ、でもそれだけ危ないって事だな。


「あ、朝飯食うの忘れたわ!」

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