第一話 2-3

 多少の遠隔、大規模攻撃魔法は結論として数の力とその即応性、連射性の低さから下火となっているのが現状である。


 アンジェリカと同室になったことを機に、ネイアは少し剣技・格闘技術の講義を減らし、実践訓練に切り替え、共に幾つかの講義を受ける様になったが、当初は彼女の個人的な家庭教師と何ら変わらなかった。

 ネイアにしてみれば、過去に学んだものをもう一度学び直すだけで一見、無意味にも思えていたが、所変われば同じ知識に思えていても人に教えたり、講師ごとに別の見方あるいは解釈の仕方を知ることで、とかく偏り、硬直しが違った思考を柔軟なものにすると言う、副次的な効果はあったようで、特に苦になる時間ではなかった。


 そのおかげか結果として、アンジェリカの成績は上がり現在、ネイアと共に同学年における成績上位陣の一角を占めている。

 アンジェリカにしてみれば『ネイアお姉様』と崇め奉っても、十二分にお釣りが来るであろう。

 この2人は何から何まで対照的である。勉強面のみならず周囲の人間には、容姿や性格に至るまでまるっきり正反対に見えた。


 タイプこそ違う美人であることを除けば、ネイアは几帳面で生真面目。同年代の女性から見れば、長身で細身な体つき。ややキツめに見えるその鋭い顔立ち。髪を上げ剣術訓練に勤しむその姿は非常に優美な、美少年剣士を連想させる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る