　……寮の2階にある自室の窓から、学院の中庭が見渡せた。

　ネイアはベッドから起きだし朝の冷たい空気を感じながら、中にはせわしなく行き交う人々を眺めている。

　今朝はどうにも夢見が悪く、奇妙な胸騒ぎを感じていた。そんな心を落ち着かせるように、軽い深呼吸をして自室に目を向ける。

　部屋にあるもう一つのベットにて、同室の女子がスヤスヤと安らかな寝息を立てて眠っていた。

　この1ヵ月間、朝に弱い彼女を起こすのもネイアの日課であった。

　そんな何の不安も焦りもない寝顔を眺めているうちに、ネイアのこの騒ぎ徐々に落ち着いてくる。

「起きなさいアンジェリカ。もう朝よ」

　軽く腰掛けていた窓枠から降り、ネイアは寝ている彼女、アンジェリカを揺り動かす。

「……いやぁ〜ん、ネイアお姉様〜もうちょっと寝かせてぇ〜」

　妙になまめかしい甘えるような声を上げ、毛布をかき寄せながらアンジェリカは猫のように丸くなる。

「……お姉さまって、貴女の方が年上でしょうが。早く起きなさい」

　毎朝、この調子である。

　現状この2人は同じ学年ではあるが、アンジェリカは2歳年上の19歳。もともと学院には20歳を超えて入学する者も少なくなく10代、それも女性となると自然、人数も少なくなる。

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