第17話 モフラー爆誕
ステータスを見たら契約獣が増えてたのはネージュの時と同じだね。
契約獣って勝手に契約する獣の総称なの?
『フィカス、やっぱりコイツを殺すなの?』
「殺さないよ!?」
『でも困ってるなの』
「あ~何か契約獣になっててビックリしただけだよ」
『む…フィカスはネージュのなの!』
いやん。オコなネージュたんカワユス。
ハッ!いかん。モフラーである事は封印していたのに…
クッ…とうとう封印が解かれてしまった…
この身体になってから理性が効かない。
いや、そうだ。生まれ変わったオレは前世とは違うんだ。
今のオレはお子ちゃまなんだから、モフモフしてようが許される年齢なんだ!
ビバ!新しいオレ!
散歩中の犬をモフモフさせて貰おうとして、女子高生にキモいと吐き捨てられたオッサンではないのだ!
ネージュをモフモフしながら、悲しい過去を封印する。
『フィカスそこなの。もっと撫でるのなの』
「そうか、そうか。ここがいいのか?」
『気持ちいいなの。フィカスは天才なの』
ふふふ。オレのモフラーとしてのテクニックは衰えていないようだな。
毎日撫で回して、既にネージュのモフモフポイントは知り尽くしているからな!
肋骨の境目をコシコシすると、後ろ足が勝手にピクピク動くのも可愛い。
鼻をピスピス鳴らしながら転がるネージュの腹毛をスハスハする。
ドン。
「ふがっ」
何だ!?
後ろからの衝撃で、ネージュの腹の上から落とされた。
『むう!白ウサギは邪魔なの!』
どうも白兎に体当たりをされたようだ。
突進じゃなくて良かったけど、完全に存在を忘れていたから驚いた。
気をつけないとと思った端から忘れるとか駄目だな。
「キュキュ!キュキュキュー!」
何かを必死で訴える兎。
『フィカスはネージュのなの!白ウサギはフィカスを殺そうとした敵なの!』
これは痛烈な皮肉だ。
「キュキュキュキュ!キュキュキュー!」
兎が土下座するみたいに地面に伏せる。
『ごめんなさいしても駄目なの!』
「キュー…キュキュ…」
ネージュに怒られて、兎は垂れた耳で顔を隠してしまった。
『ふん。フィカスにモフモフされたいなんて100年早いのなの!』
しょんぼりした兎が垂れ耳の隙間からオレを見る。
あざと可愛い。
襲いかかってくる魔物はもれなく恐ろしいが、契約獣になるとこんなに変わるものなのか…
オレがネージュをモフモフしてるのを見て、自分も撫でて欲しかったのかな。
「ネージュ、さっきは強者の余裕で許してあげるって言っただろ?」
ここは白兎を援護する場面だ。
『ハッ!そうだったなの!…仕方ないから許してあげるなの。でもフィカスを傷つけたら今度は許さないなの!』
ネージュが単じゅ…ゲフン…純粋な子で良かった。
「キューキュキュキュ!」
兎も嬉しそうだな。
「よし。これからは仲間なんだから、二人(匹)とも仲良くするんだぞ?」
これでモフモフ要員が増えた。
死にかけたんだから、これくらいのご褒美があってもよいよな。
さっきはいきなりで驚いたけど、モフラーとしてモフモフは大歓迎だよ。
先ずは名前を考えなくては。
ネージュの時はフェンリルのイメージと毛色でパッと決まったが、エンシェントラビットのイメージは特にないんだよな。
見た目は…何か薄汚れているからクリーンをかけてあげると、ネージュとは違うピンクがかった白だった。
なんだか桜餅みたいだな。
桜ね…そうだ。
「ポッコでどうだ?」
桜は韓国語でポッコッだったと思うので、それにしてみた。
餅っぽい見た目と音の響きが合うし。
「キュキュ!」
「お、これで良いのか」
契約してるからか、ネージュみたいに念話はないが何となく感情はわかる。
鑑定でも名前はポッコになっている。
モフモフしてみるとネージュとは違う手触りだ。
ネージュはツヤツヤサラサラしてるが、ポッコはモコモコフカフカしている。
これはこれで良いな。
恐ろしい魔物だと思ってた時は到底モフモフしようなんて思えなかったが、魔物も意外に悪くない。
『ネージュも撫でてなの!白ウサギはあっち行けなの!』
「キュキュ!」
「こらこら、喧嘩しないの。ほらネージュも撫でてやるから」
モフモフに挟まれて、ここは天国か…
思う存分モフモフハスハスした後にステータスを確認したら、精神耐性と苦痛耐性が生えていた。
苦痛耐性は死にかけた時の痛みのせいかLv.5まで一気に上がってたのにビックリした。
回復したとは言え激しいダメージを受けたので、その日は探索を止めて小屋で過ごしたよ。
モフモフ天国再びで、興奮して鼻血が出たのは初めてだった。
死にかけた時にあれだけ血を流したはずなんだけど、ネージュの回復は血液まで再生するんだね。
ネージュを鑑定したら回復魔法がレベルアップしてたよ。
そうそう服なんだけど、耐久力が∞なのに破れるなんてと思ったが、時間が経つと元通りになるって事みたい。
防御力は3しかない紙装甲だからダメージは受けるけど、耐久力が0にならないから永遠に使えるって感じかな。
それからネージュが狩りをしてる時はポッコがオレの護衛をし、ポッコが狩りをする時はネージュが護衛をすると言う、ちょっと過保護な体制になったが、油断すると死がやってくる事がわかったので文句はない。
決して常にモフモフが側にいるから喜んでる訳じゃないんだからね!
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