フォロワーが0だったので女神様からチートをもらえませんでした
藍色なお
第1話 能力抽選会
気付いたら何もない真っ白な空間にいた。
全てが白く上下の境もわからない。
自分の身体を見下ろすと、何やらボンヤリした影のように揺らめいている。
あ~これって神様が現れるアレじゃないのか?
ネットの無料小説なんかで人気の、異世界転生のシチュエーションにそっくりだ。
自分にそんな事が起こるなんて、妄想する事はあっても所詮はフィクションだと思っていたから信じられない。
やはり妄想が過ぎて夢を見ているか、ブラック企業のストレスで、とうとう頭がおかしくなったという可能性もあるか。
オレが自分の正気を疑っていると、頭の中に響く声が聞こえた。
『あなた達は異世界へ行くために選ばれました』
あなた達?
ふと周りを見回すと、いつの間にかボンヤリとした人影が多数存在していた。
こんなにも人がいたのか。
『これより能力の抽選を行います』
声と共にオレから見て数メートル前方に、商店街とかで見かけるガラガラ抽選器が乗せられたテーブルが現れた。
能力の抽選ってガラガラかよ。
と言うか、これって運がなければチートは貰えないって事か?
『まずは✕✕✕さん』
誰かの名前が呼ばれたようだが、名前の部分が聞こえない。
だが名前を呼ばれた本人には聞こえたのか、1つの影が前に出る。
『あなたのフォロワー数は50万人を超えていますので、抽選回数は10回です』
なんだって?
フォロワー数?
まさかフォロワー数で抽選回数が違うのか?
ならオレはどうなるんだ?
オレが自分の抽選回数に不安を抱いている内に、最初の1人の抽選が終わっていた。
どんな風に能力が当たるのかを見逃してしまった。
『次は✕○○✕さん』
今度は見逃さない様に前に行く。
同じ様に考えた人が既に前にいるので、少し遠いが見えない事はない。
抽選会場(?)の後ろには能力の名前らしき一覧が空中に映し出されている。
表の左側に玉の色が書かれていて、上から順に良い能力になってるのだろう。
選ばれた能力は線が引かれて消されるようだ。
一番上の金色の欄は3つしかないので、当たった人はチートな人生になるんだろう。
既に上から2番目の能力に線が引かれているから、一番に引いた人は運が良いのだろう。
こう言うのは初めの方なら良いのが当たるとは限らないからな。
ハズレの玉も沢山入っている事になるから、確率的には一番悪いんじゃないかと思う。
二番目の人は同じく50万人以上のフォロワーがいたようで、10回ガラガラを回していた。
『カランカランカランカラン』
『金賞!大当たりです』
何?
二番目で早くも金色が出たのか…
何と言う強運なんだ。
周りの人影もユラユラと激しく揺れている。
金賞の1つに線が引かれたが、その他は下から二番目と一番下に線が引かれたから、そこまでの強運でもなかったようだ。
いや、先に良い物を選べるなら、初めの方で引いたのは幸運と言えるな。
それからも次々と名前を呼ばれて行くが、オレの名は出てこない。
それはそうだろうと納得している。
50人目が終わり影も半分くらいになった様に感じるので、初めは100人程がいたのだろう。
『あなたのフォロワー数は1万人を超えていますので、抽選回数は3回です』
まだ影は半分以上残っているのに、抽選回数は半分以下になっている。
だが、金賞はあれから出ていないから、まだチャンスはある。
『カランカランカランカラン』
『金賞!大当たりです』
考えた途端に出るとか…フラグでも立ててしまったのか。
その人は運がよっぽど良いのか、上から二番目の能力も消えた。
残りが一番下の能力だとしても半分以上がチート能力なら、きっと勝ち組人生だろう。
いよいよ残り人数も僅かになったが、まだ金賞が残っているため、そわそわと揺れる影の中にオレもいる。
『あなたのフォロワー数は千人を超えていますので、抽選回数は1回です』
千人でも一般人なら多いんじゃないのか?
多分残っている全員が、金色は出るなと祈っているだろう。
『カランカランカランカラン』
『金賞!大当たりです』
しかし祈りも虚しくとうとう残った金賞が出てしまった。
その後は立て続けに一番下が出た。
そして残ったのはオレと、もう1つの影だけになった。
『あなたのフォロワー数は8人ですので、抽選回数は1回です』
千人より少ない人は全て1回だから、オレも1回は抽選出来るのだろう。
そして上から二番目と三番目の能力がまだ残っている。
表には他にも能力がいくつか表示されているから、どうやら人数より能力の数は多く用意されていたみたいだし、同じ能力もいくつか用意されているようだ。
これでは必ず二番目や三番目の能力が出るとは限らない。
もう何もかも運に任せるしかないな。
残り少ないためかカラカラと軽い音がやけに響く。
出た玉の色は銅色で、上から三番目だ。
銅賞の最後の1つが消えた。
上から二番目…銀賞が残った状態でオレの番だ。
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