君と運命を作り出す。

結城 眞夏

プロローグ

「__ねぇ」

 呼びかけると、君は返事もせずにこちらを一瞥する。

「お願いがあるんだけど」

 相槌すら打たない。でも絶対に聞いている。君はそういうずるいところがある。

「私と」

 大事な話をするときはいつもそうだ。


「別れて」

 私は君が好きで、嫌いだ。



 私が始めた物語だった。

 高校生活で、友達とうまくいかなくなった私が、1人本を読んでた君に近付いて。

 想像以上にノリが良くて優しくて、でもヘタレな君に。私は恋をして、そして君の大切な人にしてもらった。

 今、私が始めた物語は、私が終わらせた物語になる。


「…別れて、か」

 君の落とした呟きが、張り詰めた空気の上を這う。

「理由、聞きたい?」

「聞いてもどうにもならないから」

 明言せずに拒否し、続いた言葉に_私は言葉を失った。


「僕の運命の人に、なってくれない?」

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