女子校でダサい担任をハメようとしたら本気の恋に落ちた。

霜花 桔梗

第1話 恋の始まりは罠から

 憂鬱な五月病が終わる夏前のことである。


「あー女子校って退屈」

「どうしたの、琴葉ちゃん」


 私はこの春から女子校の一年生であった。最初に友達になった『鉄宮 香蓮』ちゃんと一緒にいた。彼女は私の事を『琴葉ちゃん』と呼ぶ。そう、私の名前が『赤井 琴葉』である為だ。


 朝の教室の窓側の席から二人で外を眺めていると。


「そう言えば、サッカー部の男性顧問がセクハラ問題を起こしてクビらしいよ」


 怖い、怖い。この時代簡単な事でクビになる。そこは被害者が可哀そうだと思うが名前が出る訳でもなく。慰謝料を貰っているかもしれない。


 そんなことを考えながら香蓮ちゃんと雑談していると。


「おう、席に座れ」


 うん?


 担任の『青葉 伸治』先生が教室に入ってくる。どうやら、ホームルームが始まるらしい。青葉先生はぼさぼさの髪型によれたネクタイ、着崩れしたスーツはお世辞にもカッコいいとは言えない。きっと彼女なんていたことがないはずだ。


 基本数学にしか興味がないらしく。大学で数学を専攻したら教師しか就職先が無かったらしい。


 その後、ホームルームが終わり、一限が始まる前のことであった。


「ねえ、香蓮ちゃん、授業を抜け出そうか?」

「ふふふ、お主も悪よのう」


 私達は秘密の隠れ部屋として体育倉庫に向かう。ここは普段人気がなく。授業を抜け出して過ごすにはもってこいの場所なのであった。

薄暗い暗い部屋の中にお菓子を持ち込んで駄弁るのであった。


「ねえ、ここに青葉先生を連れ込んで、二人きりになったらどうなるかな?」

「あのダサい教師のことだから何も起こらないよ」

「違うよ、起きた事にするの」

「はい?」

「この倉庫に二人きりで二時間も一緒にいれば、皆、何かあったと思っているだろうし、そこで私が騒ぎを起こして、あのダサい教師をクビにしちゃおうよ」

「それってヤバくない……」

「こんな退屈な女子校での生活でのスパイスだよ」


 何故、こんな罠を考えたと言うと、青葉先生が担任の関係で数学の授業を抜け出せないからだ。


 完全な逆恨みである。


 でも、何か気になる存在で振り向いて欲しいと言う感情が芽生えていた。





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