第23話
魔女さんは、観覧車については人の子供を乗せるのは怖いから、と。しかし明らかに稼げると理解し残念そうに断念した。遊園地ネタはダメなのか。
部屋に戻ってくる。お金を下ろしに行くんだった。リュックサックはお茶がはいったまま、部屋の中央あたり。万年床へ。
この部屋が、事故物件なのか?
人を惑わす異世界への、誘いの一室。
そんなの、怖すぎる。
外は暖かそうだ。どこからか工事の音がする。
私の世界だ。なんだか頭がおかしいのに世界は正しい。
一週間、10000として。
50,000円、下ろせばいいかな。
あとは諸々の光熱費が引かれる。
貯金だってボロボロになりながら収入の3分の1だ。できない時もあるけれど。わたしはまだまだ、花の18歳。部屋を出かける前に観察する。
傘。これは丈夫なやつ。自転車通勤必需品、雨がっぱ。これは100均。お風呂、シャンプー、リンス、ボディソープボトルは100均とちょっと高いのの組み合わせ。あいつらものによってはすぐ壊れるか、プッシュで出てくる量が少ない。中身は詰め替え用の安いやつ。ここでも節約だ。トリートメントは買ったけど元気になりたい時か、なんでもない日に思い切り出して使う。まだ寒い時期。本当は灯油ファンヒーターが欲しい。灯油くらい買う。そして真ん前で服が焦げそうな匂いも気にせず温まるのだ。でも、ホームセンターで灯油タンク買って、灯油の買い方がわからない。店員さんが教えてくれるだろうか。
私は念のため、ピンクのカーディガンを脱ぎ、これまた汎用性の高い、比較的バカにされないトレーナーを着た。
思えば、あの「外」もしくは世界、夢では、服装について言及されたのは最初の頃だけだ。
次はどっかの民族の、装飾はあっても服の概念のない場所にあったりするのかな。
それとも、無意識に私が、夢に夢を見て、選んでいる?
とにかく、外へ行こう。銀行だ。通帳記帳もちゃんとするぞ!
だいぶ後になって、私はアプリでも銀行の口座残金が確認できることを知る。一人暮らし。それはまだまだ、必要なことと、手を出していいことかどうかが問われる日々。
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