第7話 ステータス
場所「赤の城 訓練場」
最後にたどりついたのは訓練場。
何十メートルもの広さがある、屋内訓練場だった。
元々訓練していた兵士はいたが、十話子達が到着したのを見ると、一礼してさっとはけていった。
その退避は手早く、使われていた道具や装備品なども、部屋の中に一つも残さない。
あらかじめ十話子達が来るのを、伝えられていた通りだった。
予定通りなので気にしないでいい、と案内の女性が述べる。
その日から十話子達は、修行を行うことになった。
異世界から召喚された者達には、召喚された瞬間から、特別な力が宿る。
優れた資質のものならば、召喚直後に才能が目覚めて、瞬時に特別な力をふるえるのだと案内役が言う。
しかし、勇者でもそんなものはひとにぎり。
力を使うためには、訓練が必要だった。
だから、それを鍛えるため場所がここだった。
歴戦の猛者といった風体の人物。
団長と名乗った男性が現れ、十話子達へステータスというものを説明する。
この世界では自分の体力や能力を確かめる事ができた。
それが、ステータスだ。
十話子達がそれを確かめたい、と念じるだけでいいらしい。早速実践してみる十話子達。
直後、それぞれが己のステータスを目撃した。
十話子達はさっそく確かめてみる。
目の前に情報の記された四角い画像が映し出されている。
ネーム トワコ
スキル ???
レベル 1
属性 炎
強力 20
文字は日本語だった。
ネームはもちろん、十話子の名前。
スキルは、不明。
レベルがあるのを見て、十話子はゲームみたいだと思った。
属性は、使える魔法の種類ということだ。
強力は、強さ。
普通の成人男性で30らしいため、十話子は低めだった。
鍛えた成人男性は50で、達人などは100近くへ至る。
ステータスを確かめた後は、さっそく訓練を行った。
魔法が使える者は藁人形への試し撃ちだ。
未知の感覚なので、十話子達は、魔法を使う事には戸惑った。
「魔力ってなんだし!」
「勝手わからないし!」
「なるほど、これが魔力! 体の中に不思議なパワーが満ち溢れる!」
「信じられないし~」
「ありえな~い」
一部の例外をのぞいて。
しかし召喚された勇者だからなのか、十話子もすぐにコツを掴んだ。
十話子は、数十分もすれば炎のタマを撃ち出せるようになった。
魔法を使うのに慣れてきた後、十話子は藁人形を近くにおいてみる事にした。
すると、遅い弾丸のように撃ちだされていた炎の魔法が変化した。
マッチの火が自動でともるように、藁人形がある場所に炎が出現した。
これによって十話子は、「魔法の修行はイメージが大切だ」と考えた。
さっそく十話子は、それを皆に共有する。
「なるほど、頭の中で具体的なイメージを描くことがコツなんだな」
「だから山田さんがものすごく早かったんですね。それはそれとしてどうします? お兄様」
「とりあえず、身を守るためにも訓練はしっかり行っておこう」
「邪神討伐への戦いに参加するかどうかは別として、ですね」
その後も色々と話し合った結果、次回からはペアを作って魔法の相性や強化を探ることになった。
十話子は、風の魔法を使える者と合同で訓練してみる事になった。
炎は酸素供給で大きくなるためだ。
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