ファイブ 異世界の王女様が世界を救うために一生懸命すぎるんだが

仲仁へび(旧:離久)

プロローグ ペルカメモ



 目線「ペルカ」 場所「赤の城」


 自らが管理する城の一室。


 執務室にいた王女ペルカは、一枚分の紙を書きあげた。


 それは簡素なもので、重要な書類ではなかった。


 ただ単に、思考を整理するために書かれたものだ。


 執務机の上にある種類はしっかりとした字体で書かれている。


 しかし、一部分がヘタであった。


 だから、あまり人には見せたくないものだった。


 ペルカはメモが苦手だ。

 立場上書類仕事はこなせるが、メモとなるとなぜか内容が稚拙になってしまうのだった。


 ペルカは悩んでいたが、それはおそらくそう簡単には改善しないものだった。


 訓練してもまったくなおらなかった。


 ペルカは推測する。


 休憩中までシャキッとする必要はない。


 そういった考えが、無意識に働いているためだと。




 召喚勇者リスト


〇十話子 (とわこ)

 観察眼にすぐれている。よく人を見ている。

 炎の魔法をあやつる。


〇カガリ

 兄弟の兄の方。女好きである。リーダーシップを発揮して、同郷の者達をまとめている。剣を使った近距離戦闘が得意。


〇ホノカ

 兄弟の妹の方。しっかり者でありカガリの補佐をしている。飛び道具などでも中距離戦闘が得意。


〇シズ

 治癒魔法が得意である。第六感にすぐれている。心優しく、困っている人を放っておけないらしい。ネズの親友。


〇ネズ

 おそらく魔法の才能人である。眠ったまま、目ざめる気配がない。


〇山田

 雑学というモノと、ライトノベルというモノに詳しいらしい。どちらも耳慣れない言葉だ。


〇芳美 (よしみ)

 山田少年の近くにいる女子。特に目立つところはない。なぜ、あの微妙な少年の近くにいるのだろう。


〇房枝 (ふさえ)

 山田少年の近くにいる女子。特に目立つところはない。以下省略。





 執務室に人がやってきた。


 それは、ペルカに仕事の報告をしにきた兵士だった。


 その兵士が、うっかりしまい忘れたメモの存在に気付く。


「あの王女様、メモの隣に書かれている文字は? どこの国の言語でしょう、解読ができなくて……」


 ペルカは、勝手に読まないでと兵士を睨み付ける。


「それは顔です」

「えっ」

「顔です」

「しっ、失礼しました!」


 メモの文字の横には、似顔絵が書かれているのだが、兵士にはそうは見えなかったらしい。


 ペルカは、慌てる兵士に頬を膨らませる。


 そしてツンとした態度で罰を言いつけた。


「ご飯を抜きの罰にしてもらうように、厨房に言っておきますね。金輪際、人のメモを勝手に見ないように」


 そう言って、花が咲くような笑みで兵士に笑いかけた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る