デンジャラスマート

@pandaningen777

第1話 借金地獄で異世界支店に飛ばされた

「いらっしゃいま…フコウちゃん!大丈夫?」

水玉の半袖シャツの10代後半の少女は、自動扉から入ってきた見知った幸薄そうな顔のとんがり帽子の少女を見て、悲しげな三角目になった。フコウ、と呼ばれる少女のとんがり帽子とマントは焼け焦げ、顔には煤が付いている。泣き出すフコウの顔や腕を少女はウェットティッシュで拭いてあげた。

「怪我はないみたい。良かった。体調は大丈夫?」

「マオちゃん聞いて!マジクソPTだった!」

フコウは磨きあげられた白い床にポウッと光で何人かの絵を書くと、それをガシガシ杖で突き回した。目を見開いて金切り声を上げながら床を突き続けるフコウを見て、マコはにこやかにスポーツドリンクを渡した。フコウはそれをぐいっと飲むと、杖を握ったまま声を震わせた。

「置き去りにされた!アイツラ全員グミグミに食われちまえーッ!」

グミグミとは、半透明でキュートな形のカラフルなモンスターで、取り込まれると呼吸が苦しくなったり砂糖依存症予備群になるモンスターである。

「本当にフコウちゃんはPT運が悪いね」

「今回は吟味したのにまたPTクラッシャーが入るなんて!」

「またヒメ?」

「違う!今回は女性PTだからオウジ!」

「……そっか」

「まさか後からがソイツが入るなんて!そもそも私は反対したのに!でも結局抜ける事も無く流される私はダンジョン攻略向いてないのかな」

また涙ぐむフコウの肩をさするとマオはハッキリと断言した。

「むしろ向いてる」

「…なんでわかるの」

「毎回置き去りや囮にされても大した傷がなく生きて帰ってくるから」

 フコウはほろ苦く笑うとリュックを漁り始めて、白いカードを取り出した。

「そうだ、スポドリとウェットティッシュ代払うね。さっきは顔を拭かせちゃってごめんね」

「ごめんね、じゃなくてありがとう、の方がいいかな」

「ありがとう。じゃあ何か食べてく」

「毎度ありー!」

 フコウはアボカドとツナのサンドイッチ、オニオンスープを購入してイートインコーナーに向かった。





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