夜更けに現れた来訪者

蒼木海音

第1話 謎の男

一年前…

「中田高校で自殺が起きたそうです__」

 僕はそのニュースを広いリビングで見ていた。

「怜!あなたのクラスの子じゃない!一体______!」

 その自殺した子は僕と同じクラスで、よく喋る子だった。

 僕はその子と直接話したことはないけど…周りから嫌われていることは、よく知っていた……。

 彼のいないところで悪口を何度聞かされたことか、いやでも彼がいないと聞かされていた。



 でも、このニュースを見た時、思ったんだ。

 僕に手を差し伸べる勇気があれば、彼は死ななかったんじゃないかって…時々後悔することが、あった。




        そして現在……




「おやすみ。母さん。」

 といい、僕は自室のベットで眠りに着こうとする。

 部屋は勉強する木製の机と白い布団が敷かれているベットだけだ。

 とてもシンプルな部屋だがこれが一番リラックスできる部屋だ。

 



 明日は11月の初め…11月1日で学校のイベントの体育祭がある。

 僕は昔から運動が苦手で体育祭には少し不安を感じてしまう。クラスのみんなのおかげで何とかマシになったけどそれでも昔のトラウマが僕の心を不安で包み込む。

        


        カチッ…カチッ…

 小さな黄色い明りだけが灯る暗い部屋に静かに時計の秒針が進む音が

刻まれていく。僕はなぜかそれにかすかな恐怖を抱いた。

 しばらく経ったが全くまぶたが重くならない。次第に耳鳴りも起こり、どんどん体に異変が起こっていった。

 そして体から冷や汗がこれでもかと出ているのがわかる。

(なんだろ…ちょっと苦しいような…)

(熱があるのだろうか?何にせよ体調がおかしい…体が重い…。)




 暖かい毛布を体からどかして重い体を起こす。

 部屋の出口のドアの方へ向くとそこには……

「え…?」

 全身が黒く塗りつぶされた人影が、そこにはあった。

「お前も…呪って…ヤ……ルウうううううううッッッッッッ!」

 

 

 暗い部屋に耳が壊れるくらいの大きな咆哮がとどろく。

 目がほんの少しだけ重かったまぶたが完全に軽くなった。

 そこで目にしたのは…どこかで見たことのある人影であった。

 がっしりした体格。堂々としたこの迫力ある面影。

「宮川…大志君…!?」

 僕の目の前にいたのはちょうど11月1日に学校のそばの道路で一年前に自殺した宮川大志であった。




「うっ…………!」

 頭に激痛が走り目の前が砂嵐のように乱れる。そして次の瞬間この部屋の唯一の淡い電球の光が消えて部屋は暗闇に包まれた。

 しかしそれでも彼の禍々しい姿は黒く塗りつぶされたこの空間でもしっかりと目視することができた。



(一体どうすれば…!)

 


 体はさらに重くだるくなっていく。彼の怨念のせいだろうか……。

「君は…どうして…僕のところに…」





 その答えが返ってくる前に、意識がどこかへ飛んだ。

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